最高のドラマー、ヨギ・ホートン (Fonzi Thornton / The Leader)
好きなドラマー特集① Yogi Horton - Part 1
ヨギ・ホートンのことを語ろうとすると、冷静ではいられなくなって、
何から書き出していいかわからなくなってしまうのですが、
つとめて冷静に、簡潔に、紹介しようと思います。
Yogi Hortonは1954年生まれ。15歳にしてプロのR&Bバンドのバックミュージシャンを務め、その後も数多くの大物アーティストのレコーディング・セッションに参加しました。
初期の仕事ではSylvia Robinsonとのセッションなどがあります。
彼の名が多くの人に知れるようになったのは、80年代初頭にLuther Vandrossのバックを務めるようになってから。ルーサーとの関係は長く続きますが、他にもAshford & SimpsonやDiana Rossとのレコーディングやツアーに多く参加しました。
また、フュージョン系のアーティストとのセッションも多く(彼はChris Parkerと親交があった)、特にBob Jamesからはかなり好まれたドラマーでした。
日本でも絶大な人気があり、角松敏生はボブ・ジェームスのライヴで来日中のヨギをつかまえて自分のレコーディングに参加してもらったりしました。角松のヨギ参加曲には、「She's My Lady」や 「Gold Digger」や「Touch And Go」などがあります。
ファンク・ドラミングのエポック・メイカーと呼ばれる彼のドラムの特徴は、まず極端に音数が整理されていること。音の数を絞ってその中の間(タイム)を活かしながらグルーヴを作り上げている。その時々のタイムの取り方で波のようにウネるグルーヴが造り上げられる。
あとエイト・フィールのキッキングも特徴。走るバスドラと遅れてくるスネアの何とも微妙にユレてるリズムと繊細で切れのあるハイハットワーク、独特の豪快なタムの音。
ヨギの音源はたくさん残ってますが、映像が非常に少ないのが残念です。
下のVHSビデオはヨギがドラムを叩きながら、R&BとFunkのドラミングの歴史について語るというドラムの教則ビデオですが、彼の叩いてる姿が存分に見れることで大変貴重な記録です。
Yogi Horton / A History of R&B/Funk Drumming
廃盤で入手が難しくなってますが、アマゾンのマーケットプレイスなどでまだ入手可能です。
ネットで彼の動く映像が見れないか探してみました。
そしたらありました!。下記のリンクにアクセスし、左側の下から2番目の"Yogi Horton Tribute"というところの"Watch Clip2"をクリックしてみてください。彼のドラミングが見れます。上の教則ビデオからの映像です。
場所は、ここ
です。
Quick Time Playerの再生環境が必要です。
また、ボブ・ジェームスの1985年のQueen Mary Jazz FestivalのライブDVDでも彼の姿を見ることが出来ます。
Youtubeは こちら 。短い映像でほとんど映ってませんが音はまさに彼のドラムの音です。
お薦めのアルバムを何枚か紹介します。
Ashford & Simpson / The Performance
Bernard Edwards / Glad to Be Here
Diana Ross / Why Do Fools Fall in Love?
Aretha Franklin / Get It Right
Luther Vandross / Forever, For Always, For Love
Cheryl Lynn / Instant Love
Fonzi Thornton / Leader
Bob James / Foxie
Grover Washington, Jr. / Best Is Yet To Come
Ullanda McCullough / Watching You Watching Me
これで10枚。他にも、
Charles Earland / Coming To You Live
Carl Anderson / On And On
Dee Edwards / Two Hearts Are Better Than One
Change / Sharing Your Love
High Fashion / Feelin' Lucky
Chew / See THe Light
B.B.&Q.Band / All Night Long
The Spinners / Love Trippin'
Lonnie Liston Smith / Dreams Of Tomorrow
Teddy Pendergrass / Love Language
・・・などまだまだ。
今日はこの中からヨギ・ホートンのパワフルでうねるファンク・グルーヴが体感できるFonzi Thorntonの傑作アルバム「The Leader」から2曲ご紹介します。
ヨギ・ホートンが主役になってしまい、フォンジーには申し訳ないですが、彼のシンガーやアーティストとしての魅力も十分に伝わる良いアルバムです。Bernard Wrightの適格なプロデュースも見事。
タイトル曲の"The Leader"はNile RodgersとBernard Edwardsが参加したニューヨークらしいファンク。"Be My Baby"はロネッツで知られるあの曲を実にファンキーに仕上げています。
ちなみにこのアルバムの参加メンバーは凄すぎです。まさにニューヨーク・オールスターズ。
Robert Wright(produce,arr), Fonzi Thornton(produce,vo,arr), Nile Rodgers(arr,g), Berbard Edwards(arr,b), Kashif(arr, ky,rhm-prg), Kevin Grady/Ray Chew/Nat Adderley Jr.(arr,ky), Paul Lawrence(syn), Marcus Miller(b), Yogi Horton/Omar Hakim(ds), Luther Vandross(bv), etc.
ヨギは1987年6月にニューヨークのホテルから投身自殺してしまいました。
才能に溢れ、まだ若かったのに、残念でなりません。
寂しくて、なりません。
あと1曲おまけに。Bob Jamesの"Marco Polo"
このプレイもかっこいい。マーカスとのアンサンブル。