「わからない。わからない。」 | 多文化子ども・若者日本語教室

多文化子ども・若者日本語教室

東京都福生市にある「多文化子ども・若者日本語教室」のブログです。(NPO法人青少年自立援助センター運営)
教室では、外国にルーツを持つ子どもと若者のための日本語学習・教科学習、高校進学サポートなどを実施しています。

寒さも厳しくなってきましたが
教室では、暖房を入れてもみんなの熱ですぐに
「あつーい」となるくらい今日も元気に勉強していました。

今日は最近 日本語教室にやってきた中国ルーツ小学校6年生Sくんの話です。

Sくんは日本にきて半年もたっておらず、日本にきた時には全く日本語ができませんでした。
福生日本語教室には今月にやってきて、平仮名はかけますが、会話はまだまだ勉強中です。
Sくんの口癖は「わからない。わからない。」です。
本当にわからないときもあるし、嫌でいってあるときもあるし、甘えているときもあります。
ただ、本当に苦しそうに「わからないわからない」といって、頭を机にドンドンぶつけている姿をみると
抱えているストレスの大きさや、言葉にならない気持ちを感じます。
確かに外国に急にきて、見るもの話すもの全てが「わからない」世界なのです。
あまりにも「わからないもの」が多過ぎると、少し勉強して分かってきたことでも
拒絶反応のほうが大きくて「わからない」となってしまいます。

S君は
友達や先生に気持ちを伝えたくても通じない時は足をバタバタどんどん
「いや」と言えなくて攻撃的な態度をとる
わからないときは「わからない」と言ってふさぎこむ

一見不真面目な学生や、勉強できない子供に見えるかもしれません

でも,S君は算数はできますし、書くのも早く集中するとすごく勉強熱心です


おそらく日本語ができれば、学校の勉強も理解できてくるものが増えてくると思います
 
ただ、今は
言葉のできないストレス
異文化のストレス
自分ができないことに対するストレス
色んなストレスが「わからない。わからない。」に凝縮されているような気がします

大人ならば、ストレスともうまく付き合いながら日本語を勉強するかもしれませんが
子どもの場合は、ストレスを自分で上手く処理するのも、表現するのも難しく、言葉ができないとさらに苦しいのだとS君を見ていて思います

教える側としては、
S君の気持ちも理解しつつ
勉強をさせなければならないので、難しいのですが
同じ中国ルーツのお兄さんお姉さんに助けてもらったり
非言語のジェスチャーなどでコミュニケーションをとっています。

いつかS君の口癖が
「わからない。わからない 」から
「わかった。わかった。」になることを期待して教えていきたいです合格