自己の学習を振り返ること | 多文化子ども・若者日本語教室

多文化子ども・若者日本語教室

東京都福生市にある「多文化子ども・若者日本語教室」のブログです。(NPO法人青少年自立援助センター運営)
教室では、外国にルーツを持つ子どもと若者のための日本語学習・教科学習、高校進学サポートなどを実施しています。

昨日の記事で紹介されていたネパール出身の男の子は、
友達との会話など日常生活で英語を使って話すことがあります。
そのため使い慣れている言語という認識もあって本人も英語に対しては自信があり、
「俺は英語は得意だ」とよく口にしています。

しかし友達との会話などは、
その場の状況や共有している情報、表情、声のトーン、など
様々な文脈に支えられて成立しています。
文法的に100%正確でなくとも、十分相手に通じて、会話は成立するのです。
そういった点で、なんの文脈もない一問一答のような英語の設問に答えることと、
日常会話で英語を使うこととでは、求められる英語の質が違ってくるのです。

受験英語では、単数を表す冠詞の"a"ひとつ抜けていただけで減点の対象になります。
彼はいわゆるケアレスミスと言われるもののせいで、
なかなか問題をパーフェクトに正解することができずにいました。
「自分は普段英語を使えているのに、わかっているのに、なんで」という葛藤が彼にもあります。
そこで、これまでに解いた問題を振り返り、
自分はどういうミスをしやすいかという癖を一緒に発見していきました。
そうすることで、簡単すぎるように見える練習問題が、
なぜいま自分にとって必要なのか、ということをきちんと納得し、
真剣に取り組むことができるようになります。

「俺は進学するんだ」という明確な意思をもって勉強に集中している彼の顔は、
数ヶ月前とはまったくちがい、今日も真剣そのものでした。