前回の続きから始めさせて頂きます。
注文から10分ほどすると、熱々の鉄鍋に入ったうどんが運ばれてきました。
お店の人が「鍋が熱くなっているので火傷しないよう気をつけてください。」と言って、テーブルにうどんの入った鉄鍋を置いてくれました。
さっそく、いただいてみます。
私が麺類を食べるの時のいつも流儀で、まずは汁からいただいた。
冷えた体に熱い汁が染み渡り、思わずフーッとため息が出てしまいました。
甘めの味噌が後を引きます。白味噌とはまた違う甘みで、色から見ると普通の合わせ味噌のようです。
メニューには伊賀越玉味噌使用と書かれていました。
後で調べると伊賀越玉味噌とは、ここ伊賀上野にある老舗の蔵で作られた田舎味噌だということがわかりました。
塩味が強くなくあっさりした味なのでどんどん飲めてしまいます。
汁ばかり飲んでいてはうどんや具だけになってしまうので、次にもりだくさんの具材をいただくことにします。
白菜、葱、かまぼこ、と色々入っています。変り種では玉子焼きが具材としてありました。
野菜はどれも味噌味がしっかり染み込んでおいしくいただけました。
特に私にとって、うどんの具材として初めての玉子焼きは味噌を吸うとまた違った味わいになることは新鮮な驚きであり、卵焼きにもこんな食べ方があるのだと改めて気づかされました。
この玉子焼きを最後に全て具材を平らげた後に麺をいただく。
細めのうどんは噛まなくても切れるくらいやわらかく、麺に芯が残っているほど硬い名古屋の味噌煮込みうどんを想像していた私には少し意外でした。
個人的には麺に芯が残っているほど硬い名古屋の味噌煮込みうどんは好みではないので、これはうれしい誤算でした。
それはさておき、麺の味わいについて続けると、麺が柔らかいため汁をよく吸って、うどんだけ食べてもしっかり味噌の旨みが味わえるのがうれしいです。
三重県伊勢市には伊勢うどんという、とても麺の柔らかいうどんがあります。
同じ三重県でも伊賀市と伊勢市では山を隔ててかなり距離があり、昔の国名でも「伊賀の国」と「伊勢の国」と違っているので文化も違うはずですので、麺が柔らかいのは偶然なんだろうなと思っていました。
このあたりの歴史を後で調べたところ、奈良から伊勢へ向かう街道として、「初瀬街道」というのがあり、その街道が伊賀市内を通過していました。
いまもその街道の名残が伊賀市内各所に残っているそうです。
もしかしたらその街道を通して柔らかい伊勢うどんの文化が伊賀に伝わり、それが根付いて柔らかいうどんが食べられているのではないだろうかなどと一人思いを巡らせています。
あくまでも自論ではありますが、こんなことを調べたりするのも私の旅の楽しみのひとつです。
また、話が横道にそれてしまいました。
具も麺もすべていただいた後はお汁が残りました。
私の年齢では塩分の取りすぎに注意しないといけないので、普通はお汁を最後まで飲み干さないのですが、この味噌煮込みうどんの汁は私の好みの味で、先に申し上げたとおり少し甘い味が後を引いて、最後まで飲み干してしまいました。
“ご馳走様でした。”
帰路に着く前にこの味噌煮込みうどんに使われている「伊賀越え玉味噌」を忘れずにお土産に買って帰ろうと心に決めてお店を後にしました。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また、二回にわたるお話にお付き合いいただいた皆様に感謝いたします。