雨の季節を高揚させるアイテムはやはり傘です。
私が傘にこだわるようになったのは18歳の時です。
当時雑誌ビギンの完全別注品を扱う傘の老舗の所在地を調べて訪問したことに始まります。
当時は今とは違いそういった情報は自ら電話と足で得る必要がありましたから・・・。
上の画像の傘はその時に完全オーダーしたモノで、約20年が経過しました。
持ち手のアッシュ(英国産のとねりこの木の幹)を使用し、中棒は大分産の樫の木を選び、骨は鉄で黄銅メッキ仕上げです。
ロクロの留め具もプレスした板ではなく、針金を曲げたもので、すべてに職人さんの技術が必要です。
鉄の骨が良いのは丈夫でメッキ加工が容易で、見た目がよくなることです。カーボンやグラスファイバー骨は軽いのですが、塗装が吹き付けや焼き付けになってしまうので見た目が無機質になりますから。
そして良い傘というのは見た目だけではなく雨音が心地よいことにあります。縫製の都合上生地を若干たるませた方が作業が容易なのですが、雨音が濁りイマイチになります。
高級傘というのはある程度の生地のハリがあるので雨音が心地よいのです。そこに高級傘の本質があるのです。
そんなこだわり仕様も今では手に入りません。当時もっと無理をしてでも10本くらい注文しておけばよかったと思っています・・・。
特に鉄の骨と国産の樫棒についてはもはや入手不可ですね。
傘については画像以外にも合わせて20本程度所有しているのですが、この傘はイタリアの傘では再現できない用の美を感じています。
もちろんイタリアの傘も多数ありますが、思い入れは別格です。そしてベージュ色の傘というのは性別や服装問わず使える色味であることも知りました。