今や世界最大の時計企業グループのスウォッチがまたまた革新的部品を搭載した限定時計を発売しました。
その名もフライマジック。
非磁性合金であるNivachron製のバランススプリングつまりひげぜんまいに最初に搭載したことです。
ひげぜんまいは伸縮運動することで精度を調節する心臓部品です。長らくニッケルと鉄の合金で、鉄が磁力を帯びると精度が大きく狂うことが大きな問題でした。
昨今のモバイル機器の普及とそれに伴う強力ネオジム磁石の登場で磁気帯びの対応策ニーズが高まりました。したがって時計ブランド各社はひげぜんまいの非帯磁性素材を開発・採用する試みを2000年代に入り加速していきました。
今回ブランドの顔であるスウォッチの中でも高価格帯商品に採用したということは今後グループ内の高価格帯ブランドへの採用、そして他社への供給ということを考えてのことなのでしょうね。
さてこのフライマジックの気になるムーブメントは自動巻き機構としてわずか51個の部品で構成し、数年前に発表されたシステム51を流用しつつ、各部品の仕上げに凝っている別物でした。また面白いのはムーブメントの表裏を反転し、ローターを透明にして歯車や今回のひげゼンマイを見ることができるようにした点です。スモールセコンドの秒針は逆に動きますw。
価格は税抜き18万円とスウォッチとしては高額ですが、グループ内の企業資源を有効活用した出来栄えはさすがの一言でした。ケースはS/S、無反射サファイアクリスタルガラスで仕上げが数十万円する時計と同等と考えると破格とも言えます。
3モデルは世界限定各500本で日本への入荷は合計45本のみです。
スウォッチは必ず数年に一回は革新技術を発表しますね。それにしてもお見事です。