東日本大震災から3年が経ちました。

震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
未だ仮設住宅など避難生活を余儀なくされている皆様や、
震災の被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。


3年間という時間は、
悲しみが癒えるのには短すぎる時間であり、
本当の意味での復興が叶うには
まだまだ時間を要するものと思います。

あれから3年というこのタイミングで
「生きることに誠実」な人生の先輩方に
出会う機会が多くありました。

その先輩のお一人が、
『殯(もがり)の森』 でカンヌ国際映画祭で
グランプリを受賞された河瀬直美監督です。

こんなに人として純粋で美しい人に出会ったことがない、
と思うほど素晴らしい女性でした。


“これからの世界がどういうふうに変わっていくか。
 二度と戻らない時間と向き合うこと。
 目に見えないものの価値を感じる心。
 人間として生きていく限り変わらない普遍の真実。”


そういったものを真っすぐと見つめられ、お話される方で、
唯一無二の人を惹き付ける本質的な魅力が
ダイレクトに伝わってきました。

河瀬監督のTED TOKYOでのスピーチをご覧になって頂くと
その魅力が伝わるかと思いますが
「生きること」に対して純粋でまっすぐで力強く、
感情が溢れて涙が出てしまうようなスピーチなので、
ぜひまだご覧になっていない方は一度ご覧頂ければと思います。
http://youtu.be/XhOtrGDDRRo




「自分はどうして生まれてきたのか」
「なぜ生きていかなければいけないのか」

ということは、きっと生きている限り、
ずっと向かい合い続けなければいけない真実のように思います。


私も河瀬監督と同じように、
小さい時から
「なぜ自分は生きているのか」ということに
強い関心がありました。

そもそも自分は「生きている」のか
「生かされているのか」ということにも。


最近思うのは、
主体的に「生きている」自分と、
周りの環境や人や、自然や、
自分ではどうにもならない力によって「生かされている」自分と、

この両方のゆらぎのなかで前に進んでいくこと自体が、
「生きていく」ことのように思います。


そして、悲しんでいても、前を向いていても
時間は皆の間を平等に流れていきます。


私も3年前の夏に、南相馬に美容支援に伺わせて頂きました。
※写真は南相馬に美容支援と
子どもたちの支援に行った時のものです。


その時に出逢った純粋で可愛い子どもたちも、
この3年で大きく成長を遂げたことと思います。


美容支援に行った時に、
家を流されたお母さんが、私を体育館の隅に呼んで、
周りの人に聞こえないように小さな声で、
「メイクさんに眉毛を整えてほしいんです。

皆さんが来るのを待っていたんです。」と言われた時の、
どんな状況でも女性達は
「自分は自分自身に戻りたいんだ」という想い。

「自分自身である」ということは
もしかすると贅沢な行為なのかもしれません。


まずは生きていくこと。
その上に、余剰としての豊かさの中で、
「自分自身であること」や「美しさ」は意味を持つのかもしれません。


けれど、
人々が「自分自身であろうとすること」は
本質的な願いだと思いますし、

私はその時のお母さんや女性たちの想いを絶対に忘れられません。


3年前のあの日から、
世界中の人々が東北の人たちに想いを寄せ、祈りました。

どうにもならない理不尽な思いや、悲しみや、
その中でも見つけ出した希望の光や、
色んな想いを抱えながら、
その歩みを止めずに進んでこられた3年間だったと思います。


私たちが震災を忘れないでいること。
そして一刻も早く、本当の意味での復興が叶うこと。
お一人おひとりが自分らしい人生を歩めることを、
心からお祈りしています。