続きでござります。
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スライドで何名かのご遺体の写真が映し出された。
なかでも印象的だったのが、階段に座ったまま亡くなっていたおじいちゃん。
津波からはなんとか助かったものの、冷え込んだ家の中で凍死してしまったそうです。
真っ暗な家の中で寒さにこごえながら、亡くなる。
自分の最期だと想像すると、それはもう恐ろしい事だ。
しかも、昨日まではとても元気で、漁に出ていた人かもしれない。
横山さんが写真の公開を依頼した時、
ご遺族の方が、「この写真が何かの役に立つのであれば、おじいちゃんの死も無駄ではなかったと思える」とおっしゃったそうです。
そう言えるようになるまでにきっと想像を絶する苦悩があっただろうし、
そう言った今だって、心の中は色々あるだろうと思う。
他には、汚泥に埋まっている旦那さんを一生懸命素手で掘り起こそうとしている女性の写真。
一秒でも早く出してあげたい。
その気持ちがすべてのようだった。
旦那さんが亡くなっているという事実は後回しになっていたのかもしれない。
必死になって大切な人を掘り起こそうとした震災当日から、大切な人が亡くなったという事実を受け止めるまで、どれほどの時間がかかるか、私には想像できない。
今この瞬間も苦しんでいるのかもしれない。
前を向いて生きよう。
簡単に言えない。
ただ、1人でも多くの人が前を向いて生きられますように。と祈るだけ。
横山さんが、言った。
「無傷の遺体はほとんどありませんでした。
仮設には、大切な人が傷だらけで亡くなっている姿を見た方が多い。
うつや自殺といった問題を抱えている。」
会場の参加者は、ただ聞く事しかできなかった。