エイひれ。
するめとは違って軽い。ライト級。
エイひれ。
これぞ酒のつまみ。ごはんのおかずにはならない。するめと同じく乾きもの。
エイひれ。
あんまり栄養価が高いようには思えない。スタミナが付くわけでもなく、野菜のような繊維質、ビタミンでもなく、炭水化物の様にお腹が膨らむわけでもない。
エイひれと最初に出会ったのは学生時代の土佐。
朝倉キャンパスの近くの「ゆき」という学生街の飲み屋。何度か当ブログにも登場するママさん。
ちょうど母親くらいの年齢であるのだが離婚してひとり身。これがちゃきちゃきのお転婆、つまりは高知の典型的なハチキン女性。でも学生を自分の子供の用に大切にしかつ大人として扱ってくれた情にもろいおばちゃん。いまでも会いたいなあ。
そのゆきでよくサービスで出された。当時200円だったかな?
きまって千切りキャベツと一緒に出てきた変わった店。野菜を少しでも食べさせようというママさんの配慮。おおざっぱだけど人のぬくもりと優しさを感じたものだ。
突然発作的に思い出し食べたくなったエイひれ。
ところが東京、こちらは中野ではなかなか見つからない。
近所のスーパーには乾き物売り場にも鮮魚コーナーにもない。
ならば、と頼みの綱、中野ブロードウェイのナカムラ水産に行ったけどない。ちかくのあられ、乾物屋に行ったがとてつもない量で1200円。とても手が出ない。エイひれごときで1200円も。これだと毎日食わないといけないではないか。奇しくも断念。嗚呼。
隣の西友にもそのまた隣のイトーヨーカドーにも……。
ない。ないのだ。
ああ、中野では絶滅危惧種なのか? おお、エイひれよ出てきておくれ。
最後の頼みの綱とばかり駅前のライフストア。あまり期待していなかったが店員さんに聞くと……。
あった。あったありやした。
マヨネーズと七味があぶったエイひれのコクと歯ごたえに彩りを加える。
ジュルッと出てくる独特の風味、みりんとエイひれのコクの甘み。
するめとは違いライトだ。
今しみじみかみしめながら遠い四国の土佐の味。私にとっての土佐の味をかみしめているのであった。