お姫様辻希美

「あ~、婚活は疲れちゃう」

 

ほうきにのって

「さようでございますか。なにかあったのでございますか?」

 

お姫様辻希美

「だって男性が連絡先を聞いてこないのだもの」

 

ほうきにのって

「だったらお姫様から『連絡先を教えていただけますか?』と笑顔で聞けばよろしいのでは?」

 

お姫様辻希美

「え?この私が?

わざわざ婚活イベントに出向いてやってさらに、

私のほうから連絡先を聞けというのですか?」

 

ほうきにのって

「はい。きっとその者はタママ二等兵のマーク初心者なのでしょう。

お姫様は広い心で万人に接してください」

 

お姫様辻希美

「しょうがないわね。そうしてあげるわ」

 

【後日】

 

お姫様辻希美

「あ~、婚活は疲れちゃう」

 

ほうきにのって

「なにかありましたか?」

 

お姫様辻希美

「だって男性のデートの段取りが悪くてイライラしてしまうのです。

『今度またご飯でも行こう』とLINEをよこしたのはあっちなのに。

日程も店もいつまでたっても決まらないの」

 

ほうきにのって

「そうでしたか。お姫様はどうしてほしいのですか?」

 

お姫様辻希美

「決まっているじゃないの。『いつが都合がいい?何がいい?』って聞いてきてくれて、

お店を予約してくれなきゃ。

私の白馬にのった王子様は彼ではないようね」

 

ほうきにのって

「そのものは王子初心者かもしれませぬ。

そんなお姫様の要望を察するのが当然だと思っては。

お姫様から『私は〇日と●日なら空いてるよ。ここのお店に行きたかったんだけどどう?』と連絡してみなされ」

 

お姫様辻希美

「え?この私のほうから連絡先を聞いたのみならず、

この私が誘えというの?」

 

ほうきにのって

「そうですよ。何か不満ですか?」

 

お姫様辻希美

「男性から誘ってもらってリードしてもらいたいのです」

 

ほうきにのって

「次に会って『次回は〇〇君が誘ってくれたら嬉しいな』といってにっこり笑えばよいでしょう」

 

お姫様辻希美

「分かったわ。この私にそんなことをさせるなんて」

 

ほうきにのって

「相手にお姫様の取扱い方を伝えるのも姫のお役目です。

『こうして欲しい』とさっさと嫁いだ姫たちは自分の要求を伝えておりますよ」

 

お姫様辻希美

「そうなの。よその姫君の旦那様はリードしてくれる方ばかりだけれど」

 

ほうきにのって

「それはよその姫君が褒めて伸ばして教育しただけです。

お姫様もまだまだ初心者ですねタママ二等兵のマーク

 

お姫様辻希美

「待っていたら王子様が来てくれるものだと思っていたわ爆弾ドンッメラメラ

 

ほうきにのって

「だから三十路が先に来てしまったのですよ。

おや、お姫様、袖口から見えている黒いインナーはヒートテックではありませんか?」

 

お姫様辻希美

「キャ、恥ずかしい。見えていたわ」

 

ほうきにのって

「お姫様なんだから殿方に注文つける前にまず、

自分のことを姫として扱ってくださいね。

多忙な王子が休日に会いたいと思う女性でもないのに、

殿方からやってもらうことを先に期待しないでくださいませ」

 

 

 

 

 

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