不道徳教育講座 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

昭和セット

これで昭和の道徳紳士


大坂志郎が主演、二役。
これほどのキャリアの俳優さんが主役をはる、
そんな映画が商いとして成立した時代が うらやまし。
1959年作品。

【あらすじ】殺人以外のあらゆる犯罪を犯した不道徳な男が出所した。しかし久しぶりの世の中には、もっと あくどいヤツらが はびこっていた。教育やモラルをベールに汚職や浮気の やり放題⋯。 
●原作/出演 三島由紀夫 ●監督/西河克己
●出演/大坂志郎 信欣三 長門裕之 ほか


三島原作のコメディー映画ということで、
ちょっと めずらしいなあと興味があったけど、
そんなに笑えない。かといって
シリアスかというと そうでもなく、
シニカルな笑いを織り込んだ軽い社会風刺物。
大坂志郎の二役はさすがの巧さ、
でも不道徳な男を演じるには
ちよいとお色気が足りないかな。

若き日の長門裕之さんとここでも遭遇。
エロい、この人は。分厚い唇がエロエロエロ、
あいかわらず桑田圭介さんを彷佛させる顔だちに
別の笑いが込み上げてくる。
岡田真澄さんも若く、キザ・オーラ出まくり。

たくさんの登場人物、個性豊かな俳優陣。
つぎつぎに起こる不道徳事件、
たとえ笑いは沸いてこなくとも、
良き昭和と良き人情を堪能させてくれる。
プロローグとエピローグに三島由紀夫本人が
ナビゲーターとして出演しているけど、
ほんとに下手ね。天は二物を与えず
とは三島先生のことか。

“不道徳”なんてことばは
もう平成の今となっては死語中の死語、
いや、かえって新鮮な響きをもって新しいかも。
“不道徳な恋”、“不道徳な夢”、“不道徳な生活”、
うーん、艶っぽい。


キネカ大森「三島由紀夫 映画祭 2006」にて~

★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
これより先に『憂国』を見たものだから、
どうも心穏やかでなく・・・
「『憂国』は秀作か、芸術か、悲劇の序章か」などと
チラチラと先に観た映像が頭に浮かんで、
集中できなかったのは残念。
平静な気分で観れば、もっと違う感慨があるかも。
とはいえ、これ未ビデオ、未DVD化。残念。