Illustratorの文字スタイル(検証編) | 3倍早くなるためのDTP講座

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DTPの作業を早くするためのテクニックを綴っていこうと思っています。

久しぶりに真面目でためになる記事です(自分で言ってるし)。画像も多くボリュームもあるので2回に分けることにします(まだ画像も用意できてないので…)。

文字・段落スタイルという機能はとても便利ですが、アプリケーション毎に挙動や概念に違いがあり、QuarkXPress、InDesign、Illustratorがそれぞれ違うのは仕方がありません。

しかし、InDesignとIllustratorは同じAdobeのソフトなので、Illustratorのスタイルを勝手にInDesignの機能限定版と思い込んで同等に使用していましたが、何か違和感がありました。

よくよく調べてみると、IllustratorとInDesignのスタイルの扱いは「似て非なるもの」であり、混同すると危険であることがわかりました。

特にワタクシのようにスタイルをQuarkXPress→InDesign→Illustratorと乗り継いで来た方は注意が必要かもしれません(InDesignとIllustratorは並行ですが)。まあ、ヘルプにちゃんと目を通していればわかることなのですが…。


さて、まずInDesignとIllustratorの挙動の違いを検証します。

以下のような文字列があり、「InDesign」だけを赤い文字にしたいとします。
見出しは16Q小塚ゴシックH、本文は13Q小塚ゴシックRで作成しています。
文字の属性はスタイルなどを使わずに、文字パネルやメニューバーから手動で変更したとしましょう。

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↑文字組み見本




●InDesignの挙動検証

まずはInDesignから(検証バージョンCS5.5)。

文字カラーを赤に設定した文字スタイル「赤文字」を作成し、文字スタイルパネルの「赤文字」をクリックしてみる。

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フォントなどはそのままで、色だけが変わります。
また、文字スタイルの赤文字には「+」のマーク(InDesignではオーバーライドという)は付きません。

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任意でカラーを変更したものにスタイルを適用しても、スタイルが優先されます。
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↑わかりづらいけど、赤い文字になってます


この上からカラーを変更するとオーバーライドを示す「+」が付きます。

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↑スタイルで設定されている項目と違う属性を設定すると「+」が付いてオーバーライド扱いとなります。この例では赤文字スタイルを黄色文字に変更しています

ここでオーバーライドを消去すると文字が赤に戻ります。
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恐らく皆さんは、この挙動に「うんうん」とうなづいていることと思います。




●Illustratorの挙動検証

次にIllustrator(検証バージョンCS3)。

カラーをCMYKレッドに設定した文字スタイル「赤文字」を作成し、文字スタイルパネルの「赤文字」をクリックしてみる。

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フォントなどはそのままで、色だけが変わります。
しかし、スタイルパネルを見ると「+」のマーク(Illustratorでは「属性変更」といいます)が付きます。

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テキストのカラーを手動で変更している場合、ただのクリックではカラーは変わりません。スタイルには属性変更を示す「+」が付きます。

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↑文字スタイルをあてても、色は変わりません(C100のママ)


そして、この属性変更を消去するとカラーは赤になりますが、文字は16.93Q小塚ゴシックR(標準文字スタイルの設定)になってしまいます。

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↑本文の赤文字も同じく「+」を取ると16.93Qになります。


このIllustratorの文字スタイルの挙動を見て、InDesignやQuarkXPressに慣れた方は「???」とお思いでしょう。
Illustratorのスタイルには確固とした独自ルールがあり、InDesignとは「似て非なるもの」なのです。

このような事象は、段落スタイルを併用すれば避けられますが、まずここで取り上げるのはInDesignとの挙動の違いです。

InDesignでオーバーライドを消去するような感覚でIllustratorの属性変更を消去すると、手動で変更した属性は全て消え、標準文字スタイルの設定に置き換わるので注意しましょう。

詳細編につづく…