明和は追い出しのための強引な訴訟乱発をやめろ! | 悪徳不動産会社スマイルサービスとの闘い   blog版

明和は追い出しのための強引な訴訟乱発をやめろ!

すでにこのブログでもお伝えしている通り、 スマイルサービスは、現在株式会社明和と社名を変更しています。


しかし、名称が変わったからといって、元来の攻撃的姿勢が変わるわけではなく、入居者に対して、未払い賃料の支払と明渡を求めた提訴を、かなり積極的に起こしているようです。


○積極的な訴訟攻撃の事例


支援する会に寄せられた相談のうち、いくつかをご紹介いたします。


Aさんは、平成19年春にスマイル物件に入居し、生活していたが、諸般の事情で09年9月分と10月分の家賃の滞納が生じた。しかし、9月分については、期日から2週間ほど経過した後、家賃の半分ほどを支払った。にも関わらず、明和は09年10月に2ヵ月分に満たない未払い賃料の支払いと明渡を求めて、無催告解除を主張して訴訟を提起。裁判において、12月に明和は準備書面を提出し、その書面の中で、09年2月に、当月分の支払いについて2週間の滞納があったことを理由にして、無断でドアを解錠したことを自認。「被告の安否を気遣い訪問をするため」などと相変わらずふざけた主張をしている。Aさんは、このような野蛮な業者と付き合い続けるよりも退出することを選び、斡旋にあたった司法委員も無断解錠について明和側の瑕疵を認め、結局、賃料4ヶ月分の支払義務を免除される代わりに、1月末に退去することで和解に至った。


また次のような事例もあります。


明和の家賃支払期日は28日だが、Bさんは支払が遅れ、その旨を明和側に連絡。来所して翌月10日までに支払う約束を交わしたうえ、合意書にもサインをし、実際に期日までに支払いを終えた。しかし、その後1週間ほどして東京簡裁から未払い賃料の支払と明渡を求める訴状が自宅に。あわてて明和側に確認すると、従業員のミスだとは認めるものの、謝罪もしてもらえず。債権がなくなった明和は仕方なく訴訟を取り下げた。


以上のように、明和(旧スマイルサービス)は、2ヶ月分にも満たない滞納や、10日ほどの滞納についても積極的に賃料支払いと明渡を求めて訴訟攻撃を仕掛けてきている模様です。


○鍵交換から法的な追い出しへ


スマイルサービスは、以前は無断で鍵交換や荷物撤去といった違法行為を公然と行い、大きな社会的な批判を受けました。08年10月には集団提訴も受け、住まいの貧困ビジネスの代表格として激しく指弾されたのです。その際、批判する側(当方も含めて)は、違法な追い出しをするからこの企業は間違っているのであって、追い出しをするなら法的手続きに則って判決を得たうえで行えばいい、といった主張をしていました。


そして、実際に明和と名前を変えたスマイルサービスは、現在、法的手続きを積極的にとってきています。


このことをどのように考えればいいのか。


確かに、法的手続きに則って明渡を求めているのだから、なんの問題もないではないか、というのも、一つの意見ではあるでしょう。しかし、2ヶ月分にも満たない滞納や、10日ほどの滞納について、契約解除の訴訟を積極的に提起することが果たして、生活の拠点となる住まいを提供する業者としてふさわしいものといえるのでしょうか?


○まともに争えば勝てるはずの裁判


実際、明和が主張している信頼関係の破壊による無催告解除について、まともに争えば裁判所で認められる可能性は低いと思われます。債務不履行による賃貸借契約解除については、判例は、単なる債務不履行では足りず、賃貸借の当事者間の信頼関係を破壊する程度のものであることを要求しています。一部支払をしている2ヶ月分にも満たない滞納や、10日ほどの滞納がその要件として認定されるかは、かなり懐疑的です。また、債務不履行による契約解除は、民法541条(下記条文参照)が争点になりますが、法では、相当期間を定めて履行を勧告したあとでなければ契約解除できないとし、原則無催告解除を認めていません。賃貸借契約の解除については、個別の事情によるところが大きいので一様に判断はできませんが、相手が主張している無催告解除が認められるのは、かなり限られた条件、つまり、「契約を解除するに当たり催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情」(最高裁昭和43年11月21日判決 )がある場合にのみ有効性が認められており、そうそう簡単に認められるわけではありません。ちゃんと争えば、相手の主張が裁判所によって否定され、こちらが勝てる裁判である可能性も高いのです。


(履行遅滞等による解除権)
民法 第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。


さらに、こういった無催告解除を規定する条文については、信義則に反して消費者の権限を一方的に制限するものとして、消費者契約法10条によって無効になる可能性もあります。


(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者契約法 第十条  民法 、商法 その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。


もっといえば、明和は、当時スマイルサービスとして交付していた「施設付鍵利用契約」というむちゃくちゃな契約の条項を根拠にして無催告解除を主張しており、以前このブログで紹介した判決では 、無催告解除の特約の有効性自体を否定しています。その判決では、スマイルサービス側の訴状送達によって催告解除したという主張についても、その有効性を否定しています。


これは、現在明和が提起を乱発している係争についても有効に活用できる判決であるかと思うので、再度核心部分をUPしておきます。


ちなみにこの裁判では、被告は3ヶ月の滞納があったわけですが、解除の主張自体が否定されているため、信頼関係が破壊されたかどうかという判断には至っていません。

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・原告の無催告解除の主張が認められるか


「本件賃貸借契約は、その契約書の名称は『施設付鍵利用契約』であり、原告が無催告解除特約であると主張する条項には、『会員の利用料金の支払の事実が当社で確認できない場合、会員は資格喪失となり、本サービスを利用できなくなります』との表現が用いられていて、原告が無催告で契約を解除することができるとことが明示されていないことは明らかであり、上記の条項をもって無催告解除特約であると認めることは困難である。」


・原告の催告解除が認められるか


「原告は、本件訴状の送達をもって、被告に対し、平成21年2月分から4月分までの賃料21万円の支払を催告し、催告後の相当期間内に上記賃料の支払がないときは、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたものと解することができると主張する。しかし、本件訴状を仔細に見ても、原告が被告に対して上記の催告後の相当期間内に上記賃料の支払がないときは本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしているものと解することができるような文言は見当たらず、原告の上記主張は到底採用することができない。」
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○法的に対抗できる入居者はほとんどいないことを利用している


では、「法的手続きに則って明渡を求めているのだから、なんの問題もないではないか」、という議論に戻りましょう。


2ヶ月分にも満たない滞納や、10日ほどの滞納では、通常の不動産業者では提訴には至りません。せいぜい督促は行うでしょうが、提訴をすれば、業者にとっても負担になるし、判決を出すまでには数ヶ月ほどかかる可能性もある。負ける可能性だってある。合理的ではなく明確な計算がたたないからそういった手段はとらないのです。その理由としては、入居者を大切にしよう、できるだけトラブルは穏便に解決しようという思いもあるかもしれません。しかし、明和(旧スマイルサービス)はそうは考えていない。代理人も立てることなく、積極的に提訴を乱発しています。これは、これまでやっていた鍵交換や荷物撤去ができなくなったため、合法的な手段による追い出しにシフトしてきていると考えられます。


一方、突然簡易裁判所から訴状を送られてきた入居者は、どうでしょうか。多くの入居者は、裁判はこれまでの人生で経験することもなく、突然送付されてきた訴状に困惑し、物おじするのが当然です。明和(旧スマイルサービス)の物件の入居者は、不安定就労であったり、失業者や外国人である場合も多く、彼ら/彼女らにとって、法的なアクセス権はとても身近なものではありません。法律家に相談しようとしても、着手料や報酬が負担となれば委任することもできず、自分で法律論で武装して答弁書や準備書面を用意して、裁判闘争を行うのも大変なことです。そういった彼らが、法的に対抗することを断念し、このようなおかしな業者と今後も付き合って同じ部屋に住み続けるよりも、業者との縁を切り、他の物件を探すことを優先することを選ぶのもある意味、自然な判断と言えるのではないでしょうか。あるいは、出廷すること自体をあきらめ、欠席裁判で判決が出されるのをただ待たざるを得ないこともありえます。


そして、明和(旧スマイルサービス)はまさにそれらを狙っているとも言えるでしょう。


つまり、裁判を提訴することで、まずは入居者にプレッシャーをかけ、多くの入居者が業者と係争する手間や時間を嫌がり、退去を選ぶことを見越して、結果的に和解や欠席裁判での解決を図る。法律家が介入して判決まで至ることのほうがまれであるから、結果的に一部の訴訟で敗訴になろうが、むしろ数多くの提訴をすることで、一見「合法的な追い出し」が可能となる。そして、少しでも滞納リスクのある入居者を排除することで、新しい入居者を募集して空室を埋めていく。


これが現在の明和(旧スマイルサービス)のビジネスモデルであると考えられます。


しかし、明和(旧スマイルサービス)が現在乱発している提訴は、上記にも記したとおり、まともに闘えば勝てる裁判も多いはずなのです。それは、明和(旧スマイルサービス)の主張に正当性がない場合があることを意味しています。正当性のない主張を行っているにも関わらず、入居者が対抗しえず、法的アクセスに弱いことや裁判にかける時間や手間がないこと、情報力や経済力の格差に付け込んで、訴訟を乱発するのは、かつて、スマイルサービスが、入居者との情報力や交渉力の格差を利用し、違法な契約を結ばせ、ほかの物件に移ることができない弱みに付け込んで鍵交換や荷物撤去をしていたことと、どう違うのでしょうか。


○「追い出し屋規制法」以後の「貧困ビジネスの未来形」


現在、国会では、民間賃貸住宅政策についての国交省の部会からの審議を経て、「追い出し屋規制法(通称)」という新法案が提出されようとしています。もちろん、悪質な業者に対して鍵交換や強引な取立てを行為規制する法律ができることは喜ぶべきことです。この法案ができることで、業者の悪質な取立てへの抑制は、一定の程度は期待できるでしょう。
そして、その後、どうなるのか。
明和(旧スマイルサービス)の訴訟乱発が、ほかの追い出し業者にも拡大することが予想されるのです。
つまり、サラ金業者が業法によって強引な取り立てを規制された後、簡易裁判所をあたかも自社の職場であるかのように訴訟を乱発し、取り立てを行なっているのと同じように、これまで追い出しをやっていた業者が、簡裁に列を成してむやみな提訴を繰り返し、一見「合法的な追い出し屋」が続出するのでは、という懸念を強く持ちます。


明和(旧スマイルサービス)の訴訟乱発は、「追い出し屋規制法(通称)」施行後の、「貧困ビジネスの未来形」を映し出しているように思うのです。


単に業者の悪質行為を規制するだけでは、住まいの貧困への根本的な解決からはほど遠い。
もっと抜本的な対策をしていかないと、追い出しの現場がドアの前から法廷に場を移したというだけでは、質の悪いブラックジョークにしかなっていないのです。


いきなり訴状が届いてどうしようかと困惑している方、あきらめるのはまだ早いです。
できるだけの支援をしたいと思いますので、お気軽にご連絡を。
すでに退去したけれども相手のやり方に納得していない方、情報提供もお待ちしております。

連絡先は nosmileact@gmail.com です。


追い出し訴訟にしっかりと対抗しよう!
勝訴判決をとることで相手の追い出し策動を粉砕しよう!
明和は訴訟の乱発をやめろ!
明和の代表取締役である佐藤正光は強引な提訴による追い出しをやめろ!