国交省が家賃保証会社への規制へ??
ここのところ、UR やら動きが激しくてなかなかフォローしきれないですが、このブログもメモ帳代わりに書いていければ。
ここ でも書いていた国交省の実態調査が終わり、住宅局から業界団体宛に要請書を出すなどをしたようです。(09年2月16日付)
読売の記事 にもなっているのでコピペしておきます。
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「ゼロゼロ物件」家賃滞納で追い出し急増…国交省が指導へ
アパートやマンションの家賃を滞納した入居者が、家賃保証会社や不動産会社によって部屋の鍵を交換されたり、家財を運び出されたりする「追い出し行為」を巡り、都道府県や国土交通省の出先機関に寄せられた追い出し行為の相談が、2005年4月以降、計190件に上っていることが同省のまとめでわかった。
敷金・礼金なしで借りられる「ゼロゼロ物件」でトラブルが目立っているという。
事態を重視した国交省は16日、強引な追い出し行為をしないよう求める指針をまとめ、業界団体を通じて家賃保証会社などへの指導に乗り出した。
同省のまとめによると、相談件数は05、06年度は各29件だったが、07年度は68件と急増、08年度も4~12月で64件に上っており、この4年では最高になる見通しだ。計190件の相談の内訳は、滞納者の勤務先に押しかけたり、滞納を示す紙を扉に張り付けたりする「執拗(しつよう)な督促」が101件と最も多く、鍵の交換38件、高額な違約金請求25件、室内への無断立ち入り19件――などの順だった。
(2009年2月16日23時26分 読売新聞)
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国交省の09年2月16日付報道発表「家賃債務保証業務の適正な実施の確保の要請等について」はこちら
でみれます。
わりとボリュームがあるので、細かく追うことはしないですが、まず、業界団体である「日本賃貸住宅管理協会」に対して業務の適正な実施を求めて要請書をだしています。
日本賃貸住宅管理協会というのは、賃貸保証制度協議会という自主規制団体を作って、「賃貸保証制度の健全な発展を促進する」ことを目的としているらしいです。(このHP を参考)
加盟団体には、大阪で訴えられた日本セーフティーや日本賃貸保障、問題が多いとされている全保連などが含まれており、必ずしも自浄機能が果たされているとはいえず、この団体に加盟しているから安心できる会社というわけでもないようです。
では、なんのための業界団体なんやろーとか思ってしまいますが、とりあえずフォーシーズは入っていません。
しょせん業者による業界団体なんで、それほど強い権限があるはずもないです。
だから、今回の国交省からの要請を受けて、どこまで自浄作用があるのかを試されてもいるわけです。
国交省はわりと細かく要請していて、詳しくは上記リンクの要請書をご確認していただきたく。
あと、家賃保証会社の実態調査の概要 も出しています。全国で92社があり、関東が61社なんで、3分の2が関東に本社があるということになります。近畿と九州・沖縄の11社というのも多い地域です。
ただ、これは本社の場所なんで、支社は含まれておらず、実際の契約者は全国的に広まっていると考えられます。
それから、「ゼロゼロ物件等を巡る相談等の実態調査結果」 というのも発表されています。
これが曲者で、実績調べを見てみると、「f 高額な違約金の請求をされた」事案が平成19年度では8件、平成20年度では10件とされていますが、とんでもないっす!!
自分が知っているスマイルバジリカから違約金を取り戻した方だけでも20人以上はいるので、それだけでこの調査の18件を上回ります。
それに、元スマイルの従業員の証言 ではスマイルは2004年(平成16年)から組織的に業務として鍵交換をしていたのであり、元従業員自身も一ヶ月に10件は鍵交換を行い、毎月従業員4人で一斉に鍵交換を行い(つまりひと月で40件)、一人では半年で50件近く鍵交換を行ったと証言しています。
つまり、「b 無断で鍵を交換された」という件数は4年間の合計で38件とされていますが、それも平成16年のたったひと月で越えるほどの被害が出ていたわけです。もちろん、スマイルは平成16年以降も鍵交換を継続していました。
これらの事実だけでもこの調査が実態とはかけ離れた、かなり矮小化された被害であることは明らかです。
さらに、問題なのは、「2 実態調査を踏まえた事業者ヒアリング」で
「〇 実態調査において、いわゆるゼロゼロ物件と判明している事例において具体的な事業者名が挙げられた1社について、2月にヒアリングを行ったところ、以下の通りであった。
・「施設付鍵利用契約」といった契約形態は現在はとっておらず、新規の契約は全て定期借家契約としており、既存の契約も順次定期借家契約に切り替えている。
・家賃の滞納があった場合も、鍵の交換、物件への立入り、荷物の搬出、法外な違約金等の徴収は現在は一切行っていない。」
としていることです。
この業者はスマイルサービスであると思われます。
この報告書を読むと、なんだかあたかも改善したとするスマイルの回答をもって、問題はなくなったから規制は必要ないとでもいいたげです。
しかし、既存契約からの定期借家契約への切り替えだけをとってもここですでに指摘済 のように、問題だらけです。
しかも、鍵の交換や無断侵入、荷物の搬出、違約金についても法廷でスマイルはその違法性を認めておらず、あろうことか自分たちは賃借人の利益を目指したとまで言い切っています。なんら反省も謝罪もない。(くわしくは被告答弁書への反論を参照ください。)
つまり、その営業姿勢において一切の改善はないといえるのです。
国交省の方向性についてのさらに大きな問題は、現状の方向性が家賃保証会社への規制に向けての動きになってしまっていることです。
保証会社への法的規制が必要なのは当然ですが、それだけでは、スマイルのようなサブリース業者を規制することはできません。
サブリース業者は宅建業法の規制も受けず、現在借地借家法でしか対応できず、個別の事案につき、被害を回復していくしかない状況で、業者への規制は一切ない状況なのです。
このような法の抜け穴を放置されたままであっていいわけがありません。
サブリース業者の実態は、宅建業者が行っている業務とほとんど変わらないにも関わらず、規制がないことをいいことに、やりたい放題ができてしまう。それがスマイルであったわけです。
居住用の転貸物件を扱い募集契約管理業務を行う業者への調査、法的規制が必要です。
このままスマイル被害の教訓がなにも生かされないまま、保証会社の規制のみがされてはたまりません。被害は保証会社だけによるものではないのです。同じようなことは、サブリース賃貸業者や管理業者だってやっているわけで、そのことを見落として法の抜け穴をわざわざ作ることがあってはなりません。そんなことになれば、脱法業者によるさらなる被害拡大を招くだけです。
大きな危機感をもってこの問題を注視します。
これらの問題を検討する社会資本整備審議会住宅宅地分科会の民間賃貸住宅部会の第1回部会が2月24日(火)13:00~16:00に行われるようです。
後の祭りにならないようしっかりと対応をとっていきたいです。