<ホラー・ファンタジー>
監督:キム・グァンテ
出演:リュ・スンリョン、イ・ソンミン
劇場公開は無かったので、DVD鑑賞ですが。。。こういうのこそ、劇場で観たかったなぁと。思います。
イ・ジュンさんが主役なら公開があったかも知れないけど。主役はあくまでアジョシお二人なので。
日本は余程の人気作を除いては、わかりやすい韓流スターが主役か、KPOP系アイドルが出演している作品くらいしか劇場公開はないからさ。仕方ないけど。
個人的には、こんなに面白い作品をスクリーンで観られないのは、非常に残念ではありますね。
これは、『ハーメルンの笛吹き男』が題材で。
子供の頃に童話の挿絵で見た、ネズミや子供たちが男の後を連なっていく姿は、今でもハッキリ脳裏に焼き付いております。
韓国のこの手の、ちょっと残酷な古典物語ベースの作品って、面白しろいわぁ~。
チョン・ジョンミンさんの『ヘンゼルとグレーテル』。
「せむし男」がベースのチョ・ジェヒョンさんの『ウエイト ~呪われし存在の重さ』。
どちらも、とても好きな作品だし。
子供の頃に感じた恐怖というのは単純で。見た目の恐ろしさだったり。言う事を聞かないとこうなるぞ的な教訓だったり。
でも。
その、かつて根底に植え付けられた恐怖心を抱えたまま改めてこのような作品を観ると、そこに隠された本当の恐怖・・・人間のエゴ。虚栄。保身。偽善。。。様々なものが見えてきて。心に刺さるんだよね。
そして。もっと怖いのが。
その裏にある、「否定しきれない」という恐怖。善悪ではくくれない、同情、理解、諦め。
仲間、家族、愛を守る為、時に「悪」にならざるを得ない可能性。又は、単なる「性(さが)」としか言いようがない、望まざる不条理な言動。
それが、大人になり感じる恐怖には、かなり含まれている気がするわ。
フィクションの世界で得る、人間に対する恐怖というのは時に、自分自身の中にも見つけることが出来る。
本当に恐ろしい事です。
例えば、復讐ものを見てどこかスカッとしたりするのも、理解や同情があるからでしょ。
恐ろしい復讐を一瞬でも理解してしまった自分に気づいた時、また違う恐怖が襲ってくるので。
この手の作品は、色んな意味で怖い作品なのだわ。
後半は、子供の頃に観た『ベン』とか。デートで観に行った『ラッツ』とか。マウス系パニック映画を思い出しましたが。
子供の頃はネズミさんも共存していたような貧乏な家で育ったので。ネズミさんは他人じゃない感満載なのですが。
何者も、集団になると恐ろしいのは間違いない。
しかも、普段自分たちが虐げている存在が牙をむいた時、その恐怖は倍増するしね。
とにかく。
名優二人の間違いのない演技。ベースである古典物語。大好きなイ・ジュンさん。。。色んな要素により、非常に楽しめた作品でございました。