■成熟の過程にある韓国の芸能文化 | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


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今日はまた、韓国の有力日刊紙『京郷新聞』が、JYJの“私生ファン”の恐ろしい実態についてかなり詳しく論じる長文記事を出しましたね。猟奇的な実態が赤裸々に書かれ、“私生ファン”は「これ以上ファンではない(スターの)敵」だと一刀両断しています。


その上で、 「プライバシー侵害に寛大な韓国社会特有の文化も、“私生ファン”を量産する原因になる。韓国では、個人の私生活に関心を持つことが、たびたび『親しみの表現』として受け入れられるため、芸能人の場合、公認という理由で私生活に対する保護が受けにくく、さらに被害が大きくなる」と、韓国特有の問題として提起しています。


最後は、法的にも論じられ、「最近、国会を通った軽犯罪処罰法改正案に『持続的いやがらせ(ストーキング)』という項目が追加された。来年1月1日から発効するこの改正案によって“私生ファン”たちが犯すストーキングも処罰可能対象になるということが専門家たちの予測である」となっています。


ところで、私自身は、文中の、韓国の“親しみの表現”として行われる私生活への関心自体は肯定できることだと思っています。この問題の場合は、それが“親しみの表現”ではないということが問題なわけですよね。


実際、私が来た当時の韓国では、今のようなスターに対する執着のような関心の示し方自体、存在していませんでした。だからこその肉親的な「オッパ文化」なわけです。なんといっても、以前も書いたことがありますが、『TVガイド』という雑誌についてきた別冊「芸能人名鑑」には、芸能人全員の家の住所と電話番号がついていたんです。すなわち、当時は「関心を持ってください」とスターのほうからいっていたくらいに、普通の人間としての待遇しかしなかったわけです。


私も何回かテレビ出演する機会があったのでよく知っていますが、当時、スターに会ってもぜんぜん普通の距離でした。何のガードも、緊張もなく、テレビ局の出入り口もチェックなど存在しなくて完全に自由だったんです。当時はアイドル文化自体がまだ存在しなかったということだろうと思います。


そのように、芸能人も普通の人としてまったく壁がなかった韓国社会に、おそらく「ソテジ・ワ・アイドゥル」以降でしょうが、突然、アイドル文化というものが生まれて、距離感というものが生じないまま、アイドル文化特有の関心の強さが、そのまま私生活侵害にまでなってしまった。


ただ一方で、韓国にはまだ、芸能人の私生活を暴露するような、ワイドショーの芸能レポーターや女性週刊誌のようなメディアは存在していないわけで、全体としては芸能人の私生活への関心自体が低く、芸能人と一般人との区切りがない中、アイドルに対する“私生ファン”だけが突出しているのだともいえます。


たとえば、かつてBoAちゃんなんかが日本に進出した当時、彼女が日本の街に立つと、すぐにみんなに取り囲まれるわけですが、日本では自然に何メートルかの距離の丸い輪ができて、まるでそこに線が引かれているかように、誰もその中に入らない、ということが起こるじゃないですか。あれは韓国では、誰かが引かければあり得ないわけですよね。なんといっても、「オッパ~トンセン」距離ですから。


日本では芸能人と一般人の間にラインがちゃんとあるわけで、当時の韓国ではあれを、「日本人って不思議~」みたいに、芸能人自身もいっていたんですけど、今思えば、あれこそがまさに日本人の良識、芸能人私生活保護の“思いやり”ラインだった、ということですよね。


いずれにせよ、まだ成熟の過程にある韓国の芸能文化だということで、今回のことで有名日刊紙の論ずるところにもなり、法律も云々されるようになって、これからまさにいい所は残しながら、間違いが改善されていく、そういうことを期待していいのではないかと思います!


ということで、前置きが長くなりましたが、今日は昨日少しご紹介した、経済新聞である『イートゥデイ』の「芸能チーム長」という人のコラムを、翻訳してご紹介します。



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■“私生ファン”報道の間違い



“私生ファン”物議の勢いが荒い。グループJYJの“ファン暴行”報道によって問題が露になった。去る6日、某オンラインメディアは、JYJメンバーがファンに悪口と暴行を加える内容が録音された録音ファイルを公開して問題を提起した。折しもこの日はJYJが南米ツアーに出発する日だった。以後、8日午後(現地時間)、チリ現地で、JYJは記者懇談会を行って暴行事件に対して公式に謝罪した。


当時のメンバーのキム・ジュンスの発言をよくみれば次のようである。「“私生ファン”もファンだから、過分な愛も忍耐しなければならないと思いました。しかし、形容もできないような苦痛の中で、日常は崩れ落ちてしまいました。最小限の人間的な生活ができるようにお願いしたい思いだけです」


彼らは過ちを認めたが、ファンの過度の関心が度を超えていることを訴えた。身分証を盗用した個人通話内容の露出、車にGPSを設置しての位置追跡、宿所無断侵入やキスを試みられたことなどもあった。記者会見の後、国内のネット上には、一人の“私生ファン”が、JYJのもう一人のメンバーであるパク・ユチョンの頬を叩く動画も公開された。動画の紹介を見れば、当時、頬を殴ったファンは「私を憶えなさいという意味だった」と、自分の行動を周囲に誇ったという。


以後、19日、同じメディアは2度目の録音ファイル公開を行った。このメディアが報道した内容をみれば次のようである。「今回の問題の本質は『暴行』だ。‘怠惰な帰納(結論に反する証拠があるのにそれを無視すること)’によってスターのファン暴行を覆い隠すことはできない。ファンではない“私生”だという二分法的な態度も兔罪符にはなり得ない。それはそうで、キム・ジェジュンは悪質的なストーカーを特定して手を出したのではない。不特定多数の“私生ファン”に向けて常習的な暴行を試みた」


今回の報道の間違いをみてみよう。


このメディアは、この事件がもう3年も前に起こったことであることをまったく明らかにしなかった。筆者もまた、最初の報道以降、最近の事件であると錯覚をしていたほどである。一般大衆の場合には、もっと誤解を招くに値するだろう。3年前の事件を、今の時点で頻繁に発生していることのように知らせたのだ。


二番目は、報道において言及している「暴行」である。JYJメンバーたちが手を出しことは確かに正当化されるものではない。しかし、その以前にメンバーたちが被った、暴力的水準の関心に注目してみる必要がある。一部の意見である「スターだから忍耐しなければならない」という指摘は、決して彼らが被った侵害の反論にはなり得ない。ここでは、“私生ファン”のまた別の概念についても知っている必要がある。自分が好むスターに対する競争者として、JYJを一種の除去対象であると考えてストーカー行為にふけるファンもあり得るのである。


JYJは、過去にSMエンターテイメントとの再契約波紋以降、いわゆる「背信者」という烙印を胸に押されて活動している。公周波放送の出演取り消しなど、多くの被害を受けている。今回の物議も、その同じ脈絡の中で理解することができる。“私生ファン”物議が、ただJYJだけの問題ではないからである。


今回の物議の核心は、「暴行」ではなく、「芸能人の人権」に焦点を合わせなければならない。去る14日、JYJメンバーのパク・ユチョンは、お父さんの喪という事態を被った。このような状況における“暴行”物議は、報道倫理の観点においても決して適切ではない。


“私生ファン”たちが受けたという暴行が先か。それとも芸能人が受けた有形無形の暴力が先か。この問いに対する回答が、今回の物議の本当の実体なのである。(『イートゥデイ』キム・ジェボム芸能チーム長)



[原典] http://www.etoday.co.kr/news/section/newsview.php?TM=news&SM=2505&idxno=561506



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