あーあ
怒られちゃった。
誰にって?
おかんに。
年末からずぅっと母親は盲腸を患って、手術して入院して退院してもまだ痛くて、
寝たまんまで、動くのもやっとで、ようやく少し動けるようになって、仕事に復帰して、
やっと笑顔が戻って、元気になってきたっていうのに。
完全にわたしが悪いのです。
計画性の無いこのわたしが。
でもついつい言われたことがあまりにも当たっていて、自分でも情けなくて
「もういいよ!」って話を断ち切っちゃった。
がんばってるのに、認めてもらえないから。
いや、全然がんばってなんかないね。
まだまだダメダメだ。
ダメなとこばっかだ。
なのに認めてもらいたくて、あがいて。バカだなぁ。
母は、わたしが行き詰るとすぐに「やめちゃえば」って言う。
それは物事を簡単にあきらめろっていうことじゃなくて
中途半端にやって出来ないんなら、やめちまえってこと。
白か黒かハッキリさせようとする。
自分で決めたことを守れないなら、今すぐやめろって言う。
こわい。
こわいよ。
おかんはこわい。
ぶるぶる。
何が悲しいって病み上がりの母とケンカをしちゃったこと。
彼女の心にまた負担をかけたこと。
だからわたしはバカだ。
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父は言った。
「お前は明後日、しあさってのことを考えてバタバタしてる。
オレは今目の前にあることしか考えないぞ」
そういえば父が慌てふためいてる姿をほとんど見たことがない。
いつも何をするにも十分すぎるほどの余裕を持って、
きちんと念入りに用意をして、
準備体操ナシで海に飛び込むようなマネは絶対にしない。
だから溺れる姿を見たことがない。
「どうやったらそんな風になれるの?!」
「二つも三つもいっぺんに出来るわけないだろ。明日のことを考えて
今日準備して寝りゃいいんだよ」
わたしはしあさっての予定を考えて、一人どうしようどうしようかと焦っていた。
「そんな先のこと考えてるから、明日の用事を忘れるんだ」
どんなことにも余裕を持って、目の前のことを一つ一つこなせるようになりたい。
しあさっての心配をして、明日を失敗しないように。
でも、わたしの人生いまのところ完全にギリギリ人生。
いつも準備体操ナシで飛び込んで足つって遭難救助されるタイプ。
それでも助けてくれるライフセーバーがいたから、今まで何とかなっただけ。
また今回もライフセーバー求めて、救いの手を伸ばすのか。
ギリギリ人生脱却したくも、実はちょっとそんなギリギリなスリルが
たのしくもある。
両親としてはいい迷惑だろうな。