お隣の国では、ちょっと考えられないようなことが
起こっていて、さらに考えにくいことまで
起こりつつあるようですが、
今回は残念ながら
そのことについてではありません。


さて、とある日、
遅くに帰ってきた僕はテレビでニュースを見ていました。
すると、
「大統領は時間稼ぎをしているという憶測も出ています」
なんて声が聞こえてくると同時に、
画面には『臆測』という文字があらわれました。


ん? と、そこで僕は引っかかってしまったのです。
臆測』? 『憶測』じゃないの? とです。
うろ覚えではあるのですが、
活字となってあらわれる『おくそく』は
たいてい『憶測』という漢字が
使われていたように思えたのです。


それが、突然、
テレビで『臆測』なんて字を見たものだから、
僕は少々混乱してしまいました。
まあ、今は便利な世の中なのでさっそく調べましたがね。
だけど、
調べた結果は――

 


うーん、どっちでもいいんだ。
いや、どっちでもいいってことになった――というのが
より正しい表現になるようですね。


以前にも僕は常用漢字について
このブログに書いたことがあるのですが
(『ふるい砂 ――常用漢字について考える帰り道』ですね)、
これもまた、あの《常用漢字》の仕業らしいです。


簡単に言うと、
『憶』という字だけがかつては常用漢字として
採用されており、だから『おくそく』は
『憶測』と表記されていたわけですが、
その後『臆』も常用漢字化され
『おくそく』は『憶測』・『臆測』いずれで
表記してもいいようになった――ということらしいです。


わけがわかりませんよね?


気になって、僕は漢字辞典でも調べてみました。
奥さんが子供時代に使っていた旺文社のものです。
一応、調べた結果を載せておきますね。


『憶』:会意形声。意(オクは変わった音。こころ・おもう)に忄(心)を加えて、意と区別しておもに「おぼえる」意に用いる。
《意味》①おも-う(-ふ)。おもい。「追憶」②おぼ-える(ゆ)。おぼえ。「記憶」


『臆』:会意形声。月(肉)と意(オクは変わった音。おもう意)とで、「むね」の意。ひいて、こころの意を表す。
《意味》①むね。(ア)胸部。(イ)こころ。胸のおもい。考え。「胸臆」②おしはかる。「臆測」〈国〉おく-する。(-す)。おじける。「臆病」


で、
ここが重要なんですが、


【臆測】推測する。いいかげんな推測。《参考》「憶測」が書きかえ。


と、載っているじゃありませんか。


つまり、ほんとうは『臆測』が正しかったというのに、
常用漢字のせいで僕は
『憶測』が正しいと信じこまされていたわけですね。
いや、まあ、
調べればすぐにわかったことでしょうけどね。


だけど、ちょっと嫌な感じだなぁ。
字の意味からすると、
『臆』には《おしはかる》というのが含まれているわけだから
やっぱり『おくそく』は『臆測』と書くのがより正しいのでしょうね。
『憶』の方は、《おぼえる》とか《おもう》の意味になるので、
『おくそく』にはそぐわない気がする。
うーん。
それなのに僕はずっと『憶測』を使っていたのか。


ま、重箱の隅を突くようなことだとは思うけど、
こういうのって嫌な感じですよね。
漢字ってそう簡単に違う文字に置き換えたり
しない方がいいと思うし。
やっぱり、納得いかないなぁ。


ということで、明日もこのことについて
書いてみようと思います
(まだまだ書き足りないので)。

 

 

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