ハングルってすごい! 『根の深い木~世宗大王の誓い~』② | コワれるまで ALLORA

ハングルってすごい! 『根の深い木~世宗大王の誓い~』②

ハングルって ずっと日本のカタカナのようなものだと思ってきました。

例えば 「ワタシハ ラオヤヘ イッタ」。
誰でも読めます。
小学生でも読めます。

でも、意味が分かるかというと、そうでもない。
意味を認識するためには、知識の蓄積が必要です。

「イッタ」は、「へ」という助詞があるから たぶん「言った」ではなく「行った」。
でも「ラオヤ」は読めるけど分からない。

これがハングルだと思います。

街に出て、店の看板に「ラオ」と書いてあって、読める。
ハングルの母音や子音を学べば、韓国に行けば街角の看板を声に出して読めるでしょう。
それが何かは判らないけど、でも自分の言語を読める あるいは書けるということは、少なくとも文盲じゃないわけです。
ちなみに、羅宇(らお)というのはキセルの長い管の部分のことで、江戸時代は羅宇だけを買えたようです。

漢字には意味がありますが、カタカナには意味はなく、言わば発音記号です。
表意文字と表音文字の違いがコレです。

ハングルは表音文字なのです。

英語なども表音文字に近いと思いますが、ハングルのすごいところは、それなりの文化文明・統治機構のできあがっている国が、人為的に新しい文字を産み出したことです。
で、それがちゃんと普及している。

こんな話、世界的にも例がありません。

日本でも明治時代に、国語学者によって全ての表記をローマ字にしようという動きがありましたが、批判が大きくて実現には至りませんでした。
その動機は、 『根の深い木 (Deep Rooted Tree)世宗大(セジョン )王の誓い~』(2011年)と同じ。
日本語の文字の数を大幅に減らして習得を容易にしたいという理由でした。


ドラマのなかで 「口」 「一」(「|」かもしれない) 「己」 「亡」 という4つの文字が暗号として出(ダイイング・メッセージ)てきます。
誰もが漢字の発想なので、この暗号が解けない。
根の深い木
もちろんこれは世宗王(セジョン )が創った、新しい文字。
「ㅁ(m)」 「ㅣ(i)」 「ㄹ(r・l)」 「ㅗ(o)」 「ㄴ(n)」です。
「ㅁ、ㅣ、ㄹ」なので、“密本”の(ミル)を意味していたのです。



               


話をドラマに戻して・・・
9話あたりから視聴者に、新文字創造プロジェクトの存在が明かされます。

で、15話。
「民が文字を覚えて何になるというのか?」
主人公カン・チェユン(チャン・ヒョク)がプロジェクトメンバーの1人、広平大君((クァンピョンテーグン)ソ・ジュニョン)に言い捨てます。
「オレだって一生懸命勉強して、やっと漢字1000字を覚えた。民には字を学ぶヒマはない。王の作る文字は何文字か。5000文字かはてなマーク 3000文字かはてなマーク

大君媽(テーグン )媽はひと言。

「28文字。たった28文字で、漢字では書けない名前や風の音、鳥の声、この世の全ての音を表現できる」
根の深い木
このシーンには言いしれぬ感動を覚えます。


この回以降からは、なぜ新しい文字が必要なのか、という王の主張。
なぜ文字の公布を阻止せねばならないか、という“密本”の主張。
そのディベートというか、脚本家が考えに考え抜いた珠玉のセリフが実に素晴らしいです。

凡人の私には予想できないほど、「なるほどな~」と唸らせる言葉。

人の心を動かす言葉が、たくさん出てくるんです。

最終回まで観ていませんが、『根の深い木』、すごく面白いです。

そして、ハングル創造ってすごいことなんだと、感心します。

ドラマでそういう歴史を知ることが出来るなんて(それは脚色してあるにしても)、とても素晴らしいことだと思います。



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