年齢不詳のイ・カニ  『シンドローム』② | コワれるまで ALLORA

年齢不詳のイ・カニ  『シンドローム』②

脳外科医は誰でも、“ゴッド・シンドローム” を経験する。

脳外科医の手によって、失明する人がいる。

記憶を無くしたり、身体に障害を負う人もいる。

他人の人生を自分の手で決められる。

だからまるで神になった気で高慢になったり、

ときには挫折したりして “ゴッド・シンドローム” に陥る。







医療サスペンス・ドラマ、脳シンドロー(Syndrome)ム』(2012年)を見終えました。

面白いし、変わったドラマでした。

なんとならば、神経外科医をめざす主人公のイ・ヘジョ(ハン・ヘジン)とチャ・ヨウク(ソン・チャンウィ)の2人が、全20話の後半まで、ドラマの根幹を成す医療事件を知らないし関わってもいない。

こんな主人公おいてけぼりのドラマって、ちょっとないんじゃないかと思います。

ヘジョに至っては、病院内の異変に関わっていくのが、なんと17話のラストからなのです。

このドラマ、ヒューマンドラマの側面では、マットサイエンティスト チャ・テジン院長(チョ・ジェヒョン)と、彼の妻で仮面夫婦を演ずるオ・ウニ教授(キム・ソンリョン)、そしてウニを愛したミン・ソンジュン教授(キム・ユソク)の、大人の三角関係が中心でストーリーが進行します。
そして中盤からヨウク医師と、彼の上司であるカン・ウンヒョン医局長(チーフ)(パク・コニョン)の関係が絡んでくるんですね。

これらの人間関係が絡むシーンで使われる不気味なOSTが、印象深いです。
男性の低音コーラスで「ジーザス」とか言っていると思うんですけど。


医療ドラマの側面では、手術シーンがふんだんに採り入れられていて、手術前に手をどう洗うのかとか、マイクロサージェリーってどういう感じなのか、よく分かります。

このドラマのために40億ウォンも使って本物の手術設備を借りたとか。

そして手術シーンはちゃんと専門家が検証したようで。

緊迫感があるわけです。


     脳     脳     脳


さて、私がこのドラマで一番印象深かった登場人物は、チャ院長の元恋人で、チーフの母であるカン・ヒヨンを演じるイ・カニという女(Lee Khang-Heui)優さん。

こんな感じで登場するのですが、白髪混じりの老女みたいに見えて茶目っ気があり、妙に目の動きが速いし表情の変化が機敏なのです。
シンドローム

ところが、チャ院長の回想の中でのイ・カニは、かなり若い女性に見えるのです。
シンドローム

このカニという女優は1968年生まれで、ドラマ放映時は43歳。
でも40歳代には見えない、可愛らしい人なんですね。

ちなみにこの人を観るのは初めてではなく、実は映画 『食客2 (Gourmet)~優しいキムチの作り方~』(2010年)で、キムチコンテストの審査員としてずっと出演していました。
食客2
この役が一番彼女の実年齢に近い・・・かな。


ハン・ヘジンを観られて、それはうれしいんですけど、このドラマでちょっと不満なのが、カン・ヒヨンを描き切れていないところ。

事件が収束した後、カン・ヒヨンはどうなったのでしょうか。
あるいは、その息子のチーフは?
私は脳地図を(brain map)使ってチーフが母を治療するとか、そんな展開を期待したのですけど。

チャ院長の人体実験が暴露されたら、ドラマも終わってしまいました。
イ・ソヨンの 『天使の誘惑』(2009(Temptation of an Angel)年)なんか、全部バレてなお、あと4話もストーリーを引っ張ったのに。