『IRIS』の足元にも及ばない『ATHENA』 | コワれるまで ALLORA

『IRIS』の足元にも及ばない『ATHENA』

映画版『IRIS』に文句を列べました。
ならば、と触れておきたいのが『IRIS』のスピンオフドラマ『アテナ (ATHENA) 戦争の女神』(Goddess of WAR)

『IRIS』の勢いに乗って制作費も同額の200億ウォン(約15億円)かけたようですけど、韓国では視聴率が下落一方で、ネットでは酷評されています。
まあ落ちたといっても最終話13%台をキープして終えられたようですけど。

そんな事前情報を得たものの、できるだけ先入観を持たずに素直に観ようとしました。



動画の冒頭は初回話。
最初の30秒でワクワクしてきます。

時間軸は『IRIS』から数年後。
青瓦台(チョンワデ)にはチョ・ミョンホ韓国大統領がいますね~。

爆死したはずのチョン・ヒョンジュン秘書室長がいます。
おやおや、アイリスの一員ホン・スジン広報企画官もなぜか顔を並べています。

ドラマのなかでもアイリスという名前や、大統領が「もう内部の裏切りはごめんだ」みたいなセリフが出て、いかにもスピンオフ臭満載。

南の諜報機関NTS(NSSの1セクション)に対して今回は北朝鮮(もちろんパク・チョリン。中将に昇格)はもちろん、アメリカも参戦、そして謎の組織アイリスの四つどもえと、敵キャラも増えてます。

      

だけど、ダメですね。この作品。
全20話中、前半の主人公ジョンウのあまりの“愚かさ”に、もうついて行けないなって感じ。
実社会でここまで組織行動が取れない大人なんて、あり得ない

主人公がスリリングに立ち回っているように見えるけど、実は本部(NTS)に報告もせず、その場その場の衝動だけで勝手に動いているだけ。
ドラマの3分の2は全部、お前が混乱の原因を作っているだけだろうっビックリマーク

車に乗ってるときにちょっと電話すれば、衛星探索とかSRT(特別対応班)の後方支援が得られ、もう少し違った展開になるのに。
それで敵を逃しても、視聴者は「あぁ、残念だった」と納得できる。
でも、あれじゃ「バカやろうむかっ (お前だお前、お前のせいだっ)」ってイライラが募るだけ。

これは俳優チョン・ウソンが悪いのではなく、脚本家を中心とした制作陣が悪い。
主人公を007みたいに撮りたかったのかもしれないが、単に知恵が足りない、としか見えないんだな。

だから、このドラマの代表曲、『IRIS』の「Don't Forget」に負けずいい曲なんだけど、この曲を聴いても感動的なシーンが思い浮かばないんです。

ずーっと。

後半になり、ヘイン((SE) (AE))が改心していくあたりで、やっとこの曲への思い入れができました。

    

少女時代(SNSD)テヨン(TaeYeon)が歌う「サランヘヨ(I Love You)」。



どんなシーンで流れるかというと・・・

主人公ジョンウの一途な誠実さ(これこそみんなの大迷惑)に触れて、過去の罪業に気づいたヘインは、遠方の漁村で服毒自殺を図ります。

一命を取り留めたヘインにジョンウが語りかけるシーン。
「いっそアテナに戻り、敵として俺に銃口を向けろ。自殺まで図る今のお前を見る辛さよりましだ」

まあ、こんなシーンとか、ですねぇ。



この回以降もジョンウがヘインに抱くアテナ疑惑が解けない状況が続きます。

このあたりのすれ違いは、イライラ続きの韓流ドラマにしては珍しく違和感のない“大人の”展開を見せてくれて、Goodです。

最初から主人公を、こういう人物像として撮れば良かったんだ



     

でも、チョン・ウソンは好きですよ。
私の頭の中の消しゴム(A Moment to Remember)には泣かされました (ノ_-。)