前回までの記事。
『【原発利権①】海外から見た「日本の原子力村」』 4/12
http://ameblo.jp/kitanotabito/entry-10859484438.html
『【原発利権②】官僚・学会・マスコミの癒着について』 4/13
http://ameblo.jp/kitanotabito/entry-10860473955.html
シリーズ3つめは、厳密には「利権」ではない。
だが、「体質」の1つとは言えるだろう。
4/14の東京新聞の朝刊、「こちら特報部」のコーナーが、かなり衝撃的だったので、その記事の紹介、という形にしたい。
テーマは、「設計や施工自体がいい加減」という事になるかな('A`)
【元技術者は、夜眠れない】
『福島原発の実態 元技術者が語る / ずさんな建設現場 / 被ばく労働あった』
こう銘打たれた記事は、菊地洋一氏(69)へのインタビューだ。
「原発が最先端の技術で造られているというのは真っ赤なウソ」
こう語る彼は、建築コンサルタントを営んだのち、GEの原発関連会社に入社。
約7年間、原発の建設や補修に従事。福島第一では「企画工程管理者」だった。
以下の抜粋文は部分的なものであり、僕個人が多少、文章を省略化しているが、ニュアンスは変わらないよう配慮しているつもりだ。ご了承を(・ω・)
「原子力の技術は全然確立されていなかった。とにかくハチャメチャだった」
「実際の工事では図面通りにならないことばかり。
十数回も書き直すのは珍しくなかった。時には強引な施工方法でつじつまを合わせた。
6号機は追加工事で60億円もかかった」
設計初期の段階から、無理があったことを窺わせる。
また、追加工事60億も注目したい。
今回のブログでは、いかに工事がずさんだったかを示すわけであるが・・・
もしそれを「今後は、より安全に」と言えば、「今までの原子力発電コスト」が、根本から塗りかえられ、高くなることが予想できるからだ。
「現場もずさんで、作業員が原子炉格納容器の底に立ち小便するのが常態化していた。
小便が原因でさびるとは言えなかった」
「未熟な作業員も少なくなく、不安げな若い溶接工もいた。
現場の業者が、工事ミスをメーカーや東電側に伝えることはほとんどない。
本当のことを言えば煙たがられ、次から使ってもらえないからだ。
当然、過酷事故につながりかねない欠陥は放置される」
「菊地氏自身、6号機で重大な欠陥を見つけた。
配管が削られ、場合によっては突然折れる「ギロチン破断」に繋がりかねない。
品質管理責任者に報告したが、「安全性に問題なし」とされた」
ずさんさが、生々しく語られる工事現場・・・(-ω-)
「福島第一の改修工事の現場は、被曝の危険と隣り合わせだった」
「クレーンでつるされたゴンドラで圧力容器内に入り、放射能だらけの水あかを落とす。
容器の直径は6メートル。放水の反動でゴンドラは揺れるような感じになる。作業員は恐ろしかったと思う」
作業員の安全も軽視された改修作業。
これも、菊地氏が「原発嫌い」になった大きな理由の1つだそうだ。
「心臓部のひび割れは大ごとだが、気がつかないでひび割れすることはよくあるということだ。
ずさんな工事の実態からすれば当然かもしれない」
【施工技術が追い付かない】
菊地氏は退社後、毎晩のように悪夢を見たという。
「圧力容器につながる配管がギロチン破断し、格納容器内で暴れ回る。
現場では『タコ踊り』と言っていた」
氏はのちに、福島第二の3号機の事故を機に、反原発運動を始めた。
GEから入り、日本の原発実態を見た彼には、危険性が無視できなかったそうだ。
「原子炉を守ろうとする発想自体が間違っているし、仮に計算上、可能だったとしても、施工技術が追い付かない」
【ネットでも見られるでよ】
ネットで検索すると、菊地氏の講演の全文があったので、リンクさせていただく。
『元GE技術者・菊地洋一さん講演 「命はほんとうに輝いている」』 2003年3月31日 三重県海山町
http://www.stop-hamaoka.com/kikuchi/kikuchi2.html
かなり長いが、部分抜粋してみよう。
「問題なのは設計そのものも十分検討されていない、いいかげんな感じで工事が進められていました。」
「古い原子力発電所が危険だということはもちろんいえますけれども、新しい原子力発電所だから安全かというと、そんなこともありません。新し いものにすると、また新たな問題がどんどん出てきている。」
「改良型がどうのこうのと聞きましたけれども、まったく世界でも新しい、アメリカにはない 135何万KWというような炉でもしょっちゅう事故っています。もうまたかというぐらい、数えきれないくらい事故っている。それは何故かというと、確立された技術ではないからです。これはその溶接技術だとか、金属のことを扱う学問として冶金工学といういい方をしていますけれども、そういう冶金工学上の現代 技術の限界というものもあるんですね。そういうものを隠したまま、もう技術は大丈夫だというような事をいいながら原発を造っております。」
技術不安を抱えたまま、建設を推し進めた原発・・・(・ω・;)
「新しいものには新しい技術的な不安があります。今いったように技術万能というわけにはいかないんですよね。どんなものでも故障は出ます。
(中略)
僕は東京電力に交渉したりいろいろしましたけれども、とにかく 起きないといいはるわけです。でも実際、電力会社は自分の原発のことを知りません。僕がいろいろ説明をしますと、「へえっ! そんなことあったんですか」 といってびっくりするわけですけれど、調べてみると僕が言った通りになっていると。でも今更運転している原子炉を止めて、配管を全部取り替えるなんてこと は出来ない、「見ているから大丈夫です」の一点ばりなんですね。とにかく電力会社は現実を知りません。」
「想定外」なのも無理はあるまい。電力会社自身が、「安全神話」を信じ切ってしまっていたのだから・・・
そして仮に間違いに気付いても、「今さらやめられない」という・・・('A`)
「そういうこと(下請け孫請けの工事ミスのこと)を素直にいってくれというとを、電力会社はよく 現場の所長会議とかでそういうことをいうんですけれども、決していっていません。いっていたら現場から締め出されてしまいます。そんなことやる業者を使うなという圧力がかかりますので。ですからなかなか理想的な工事はできない。」
僕の父は、中堅ゼネコンの安全管理責任者だった。
で、下請けなどは、やはりずさんなところが多いので、イヤってほど安全指導をするという。事故を起こされたら、親会社の責任になるからだ。
だから、「事故を報告したら締め出す体質自体が考えられない」と言うし、これは「親会社の責任は重大」だと言う(-ω-)
「(年に1回の点検や補修は)これはとんでもない被曝作業で、外国人の労働者をたくさん使ってやったんですけれども、大変な恐怖の仕事です。これが大体が被曝作業なんですね。そういうことが原子力発電所がある以上は続くということですね。」
「バイロンジャクソンというGEの下請会社で一番詳しい原子炉の開発者たち、ポンプメーカーの従業員はもう10年前、僕が働いていた時の人間はだれもいません。みんな被曝して嫌だから辞めていっています。」
ここでも、被曝作業の危険を指摘している。
なお、次回以降で紹介する予定だが、外国人労働者だけでなく、日本のいわゆる日雇い労働者も、大量に使われてきた、という指摘もある。
「本当に原発ぐらいウソだらけのことはないのです。GEの僕はトップシークレット(極秘) を見れる立場でやっていましたから、赤いトップシークレットの判を押したそういうテレックスをよく見ましたけれど、電力会社にも国にも隠しているトップシークレットってあるんです。そういうものはみんな隠されたまま安全だと宣伝されているんです。
だからアメリカのGEの、一番原子炉に詳しい開発者達が、僕が辞める1年くらい前に3人揃って辞めました。定年退職前の高級技術者たちです。もう博士号持って、日本のGEの原子力の開発をずっと担ってきた有力なメンバーです。そういう3人がですね、必ず事故ると、このままだったらいつか必ず事故ると。いつ、どこでといえないだけだっていって辞めました。」
日本の原子力開発を担った有力者の予言・・・「必ず事故る」
彼らにとり、日本の原発は、非常に危険だと判断されていたようだ・・・それなのに日本の原子力利権は「安全神話」を唱えるばかりだった('A`)
「原発のそういう所(被曝の危険がある箇所)で仕事やる時はですね、3点セットというのがあって、フィルムバッチとアラームメーターとポケット線量計。この3つを付けるという話がある。その3点セットをはずして記録が残らないように、それ付けているともう仕事にならないですよ。そういう話は現場でよーく聞きました。何度も。ですから浜岡で嶋橋青年が死んで、中部電力がこんな低い被曝線量で死ぬわけがないと。でもその急性白血病とかは原発特有のものですから労災では認めるわけですよ。だけど電力会社は記録みたらそんなに被曝していないと、ちゃんと管理していてこうだという。だけどそういう3点セットを全部はずして仕事しているということはしょっちゅう耳にしていますから。そういうことで死んでいく人もいると思います。」
なんと、「安全基準を守ると仕事にならないから、数値を無視していた」という。
これでは「被曝して当たり前」であるばかりか、「それを立証できない」という状況ではないか(´Д`)
【考えさせられる「経験者の視点」】
その他、「原発が嫌になった大きな理由」として、
「補助金で行政は腐り、しかし住民の多くには還元されず、そして賛成派反対派で10年以上も憎しみ合う町になるから」
という意見も重かったが、抜粋は省略する。
そして、何より重みを感じたのは・・・
「現場は、技術者は、命がけで建設している」
という話だ。
手を抜いているわけではない。東芝や日立の人間は、休日も寝る間も惜しんで、4~5年、身を削って仕事をする。
ボロボロになり、過労死したものもいる。
でも、「原発の安全」を考えれば、少しも手は抜けない。
そう、それだけ必死にやっても・・・
納期はあり、未熟な下請けはおり、限界がある。頑張っても頑張っても、「絶対」には届かない。
この意見は、考えさせられる(-ω-)
【この話、信じられますか】
現場は悪くない・・・では、何が悪いのか?
不完全な技術と、不十分な納期を押しつけた計画元だろう。
そして、コスト削減のため、未熟な下請け・孫請けを使う体制もだ。
これを語ったのは、現場で、技術責任者だった人物だ。
そして、リンク先の講演内容を見ればわかるが、「彼にこっそり同調する関係者は少なくない」のだ。
原子力PR館に勤める元同僚が明かす「表には出せない話」
積極推進派の下請けの社長が打ち明けた「被曝して死んだ身内」
女川の建設に抜擢されたIHIの所長の苦悩。
「このままでいいのか」その疑問は、巨大な歯車の中で押しつぶされ、やがて忘れられていく・・・(´・ω・`)
これらを「誇張だ」とか「フィクションだ」と、否定できるだろうか?
少なくとも菊地氏が、虚偽で訴えられたという話はない。
ただ、今まで、無視されてきただけなのである(´・ω・)
原発はもともと危険で、安全にするには金がかかりすぎる、ってことなんだろうね・・・
お金よりは安全が好きな北野旅人を応援してくださる方は↓↓をクリックしてね!!
![人気ブログランキングへ](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fimage.with2.net%2Fimg%2Fbanner%2Fc%2Fbanner_1%2Fbr_c_1510_1.gif)