休みだった。3月下旬とはいっても、まだ市内の積雪は3月25日現在で43センチもある。気温は3℃とまだ寒い。息子は車にモノをいっぱい積んで、骨董市に行った。車が使えないので、歩いて5分くらいのところにある小さなスーパーに買い物に行く。
 ちょっと早く来過ぎて、まだ開いていなかったので、その近隣にある平和公園をジョギングする。公園はまだ雪が腰の高さまで積っていた。歩くところだけ除雪してある。わたしも昔はこの公園の傍のアパートに暮らしていた。そのときも通勤には公園の中のジョギングコースを歩いた。一周1キロもないが、ちょうどいい長さで、雪が解けたら、大勢の市民が走っている。いまは、噴水や花壇も雪の中だ。

 スーパーで買ったのは、肉なしで魚と野菜、果物だけ。特売日らしく、牛乳も安い。あれこれと買って、レジ袋7つになる。それをどうやって家まで運ぶのか。指がさすがに痛くなる。

 自転車を出した。歩道はもう雪が消えているから、みんなそろそろ自転車通勤をしている。ボディバッグには温泉に行くので、タオルと本が何冊か。まだ寒いので防寒着に手袋だ。路肩に積み上げた残雪が解けて流れている。それが汚い。一冬分の埃が雪と共に解けて出てくる。自転車どころか、きっと背中も泥が上がっているだろう。まだ早かったか。郊外に向うにつれて、歩道はまだ雪があって、歩く人は踏んでゆくが、自転車では降りて引いてゆかないと。それか、車道の端を走る。風は寒いし、泥の上を走っているので、後悔しだした。まだ自転車は無理か。
 車はできるだけ使わないようにするために、これからは遠方は自転車で、近くは徒歩でと習慣づける。病院の洗脳がここにもある。歩いて五分のコンビニまでも車で行く人がいると、それが現代人を完全な運動不足にしている。
 自転車は好きなので、乗る機会が増えるのは嬉しい。いままでもママチャリはあった。子供が東京に行って、置いていった古い自転車に乗っていた。一時、原付バイクにしたら、そればかり乗っていた。それも安易に使えるからいけない。
 自転車ブームが到来して、この前行ったフィリピンでも中高年までが、ロードバイクに跨り、ヘルメットにピシッとしたサイクルウエアパンツを履いて、サングラスといういでたちが目立ったのに驚いた。日本だけでないのだ。
 いまのところ人力での効率が一番いいのが自転車だ。これはこれからますますいろんな楽しめる機種が出てきて広く乗られるようになるだろう。

 今年は雪が遅かった。まだ降っている。温かくならないから積雪が解けない。ドカ雪は青森市ではあまりなかったが、だらだらと降り積った。サイクリングシーズンは桜が咲く5月にならないとダメか。
 新幹線の駅を過ぎて、健康ランドという温泉にいつも行く。健康というがただの温泉だ。以前は温水プールを開放していた。子供らが小さいときはよく連れてきた。不景気でプールが閉鎖されると、じじばばばかりが来る温泉だけとなった。

 そこの温泉でお気に入りは日焼けサロンだ。裏表を焼く。ただ、こんな雪のある時期に一人だけ顔色が赤かったりすれば、「昼から酒呑んで」とか、「血圧が高いんじゃないか」と、誤解される。雪国は日光不足で鬱病患者が増える。全身に光を当てることで、ビタミンDができる。それと関係があるとか。秋田や青森などの日照時間の少ない県に鬱病が多いことの研究成果だと本に書かれていた。知り合いにもそういう人が何人かいるが、夏に近くの海水浴場に連れていってやりたい。うじうじと部屋に閉じこもっているのが心身共によくない。

 サウナで汗もかいて、露天風呂にもはいる。漢方の湯からドクダミの湯、泡風呂、寝湯など、2回転はする。
 風呂上りに食堂でザル蕎麦を食べる。客は少なく5組よりいない。なんだか淋しい。いちいち外食してもカロリーばかり見て食べるのでは美味しくはないが、仕方がない。外食が一番栄養のバランスも悪く塩分があって、ハイカロリーなのだ。体によくないのは美味しいのだ。
 温泉の2階には映画館がある。そこでねそべって洋画を一本見た。「ハンガー・ゲーム」というサバイバルアクションだが、未来のアメリカ政府は人々にサーカスを提供する。ローマ帝国のような殺し合いを、選ばれた市民階級だけが楽しめる。完全な格差社会は郡部に住む人たちを野蛮な奴隷のようにする。中世社会と未来が混沌とした画面はよかった。内容はいまいち。
 レストルームのリクライニングシートに寝ながら、持ってきた本を読む。やっていることは、病院も外も同じで、きっとどこにいてもわたしのライフスタイルは変わらないのだろう。それではつまらないから、日常を打破するためにたまに旅に出る。

 あやうく寝てしまうところであった。いつまでもだらだらとしてはいられない。着替えしてまた自転車だ。泥が入って走りは悪い。帰ったら、洗ってから油を差さないと。いつもは車で来るところも、自転車でも倍ぐらいの時間よりかからない。往復1時間の運動だ。すっかりと春になったら、今度は、少し足を伸ばそう。ジョギングもいいが、サイクリングのほうがいい。部屋でごろごろと不健康なことはしない。書を持って街ではなく郊外に出よう。どこで読んでも同じだが、できれば、運動と自然満喫を一緒にしたらいいだろうな。東京ではそれができない。どこまで走っても街中で、自然の中までとなればかなり距離を延ばさないといけない。青森なら、自転車で30分も走れば、もう山の中だ。
 
 学校は春休みに入り、もうじき4月だというのに、まだ雪マークの天気予報。これで来月は桜が咲くのだろうな。どうも実感が湧かない。
 まずは、自転車の点検をしなくてはならない。タイヤも交換しないといけないし、回転が歪むから触れ取りもしないといけないが、それは知り合いの自転車屋さんにやってもらおう。すぐバスだとかすぐタクシーという生活に馴れ、近場でもマイカーでという生活を改善するために、徒歩か自転車、この使い分けで運動をしないといけない。ようやくそういう自覚が出てきた。
 青森出身の三浦雄一郎さんは、80歳が4回目の成人式だと言った。ということは、わたしなんか、まだ3回目を過ぎたばかり。いつまでも若者でありたいとは思う。