青べか物語


文芸作品かと思ったら、下ネタに次ぐ下ネタ。
えええぇぇ。
やだ、口に合うわあ。

舞台は、千葉県の浦安。
ネズミの王国ディズニーランドのあの地が、ド田舎だった頃。
干潟だ、漁業だ。
青べか=青い牛だと思っていた阿呆は誰だ。当方です。
船の名前であった。そう、海だ、川だ。

今はもう無い景色を収蔵する役目が映画にはある。これがまさに、それ。
在りし日の浦安、遠浅の干潟と、川岸の葦。
ヨーロッパ映画のような風情は、モネの絵のよう!

その地に立ち寄った作家が出会う人々の風景。
ド庶民のドタバタあり、しんみりあり。



森繁久彌フランキー堺も、短足で顔がデカい。ザ・縄文人。だからイイ!
ちょいちょい、森繁の太ももが露わになるサービスショット付き。

水戸黄門こと東野英治郎の圧が凄い。

加藤武がすでに加藤武。一体、いつ加藤武は完成したんだろう。
武の半裸がたくましいのでドキドキした自分にうろたえる。

左卜全に切なくなる日が来ようとはズビズバー。
池内淳子の美しさよ!

と、知った顔が大挙して出演しているので、目が忙しい。

モノローグが美文なのは、原作の山本周五郎の力か、脚本の新藤兼人の力か。
脚本は新藤、その嫁の乙羽信子はセリフの無い素晴らしい役。というのも、面白い。

川島雄三作品を初体験。エンターテイメントなのだなと!
画面の色合いも華やかで、殊に女子の着物がキュート。
俳優への信頼が伝わってくるような心地よさ。



全てが繋がっているので分かりにくかったけれど、オムニバスだ。
平常心で観ておったのに、中盤のエピソードから様相が変わった。
グイグイと掴まれてしまった。

劇場が沢山のお客さんだったのも、また嬉しい。
みんなで笑って、みんなでホロリと。
これって、劇場鑑賞の醍醐味の一つ。

地味な文芸を想像していたら、足が泥に嵌まる感じ。
このヌチャヌチャな人情のヌカルミは、とってもあったかい。



『青べか物語』 1962年・日本 

映画 スクリーン(秋田・週末名画座シネマパレ/Twitter

[関連作品]
加藤武 『犬神家の一族』『天国と地獄』『仁義なき戦い 代理戦争』『仁義なき戦い 頂上作戦』



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