黒い十人の女

『黒い十人の女』 1961年・日本 


『黒い十人の女』といえばザ・スタイリッシュ。
きっと『第三の男』みたいなんだわ。
モノクロで、影と光で。
息詰まる女の戦いなんだわ。

そう思っていた頃が懐かしい。(遠い目)

思いっきりコメディじゃないか!
クックックッ笑いが止まらない。
少なくとも当方は、度々の爆笑。

同じ男に惚れた、10人の女。
そうなると、まあ男が憎い。
殺してやりたい。

女の心理が痛いほどにわかる系。
男ってアホじゃないかと思う系。
ぃや、アホだと確信する系。

なんという小気味よさなのか!


惚れられる男は、船越英二。まさに適役!
のらりくらり。めっぽう優しい。人の話は聞いてない。ザ・適当。

岸恵子は着物なのにパリの香り。イライラとして、いい。
山本富士子は、2、3人殺っていそうな貫禄。

宮城まり子が素晴らしい!タンスの匂いも漂う主婦感。
以前、お姿をお見かけしたことがあり、魔女だ・・・と思ったものだった。やはり、魔女だ。

中村玉緒がめっちゃ可愛い。アイドルか。
岸田今日子がめっちゃ怖い。それは、いつもか。

市川崑監督ばんざい!
アップからの、照明当てながらの、モノローグなんてヨダレもの。
笑わせと怖がらせのバランス。名人芸。

音楽の芥川也寸志(芥川龍之介Jr.)は我が祖母の友人であったので、個人的に旋律が感慨深くもあり。


実際に、こういう男の方がモテるから、世の男性にはお気の毒。
女に詰められての、男の狼狽。
逃げっぷりには、大いに笑う。
落語のよう。
ざまあ、と何回つぶやいたことか。

殊に、女たちのセリフに納得がいきまくり。
何しろ、脚本の和田夏十は、市川崑監督の嫁なのだから。
どうだ、この、うすら寒さは。
愉快愉快。

男と女の間に横たわる、黒い川。
そこを乗り越えたり、踏み止まったりの顛末が笑えて怖くて、強烈にヒリヒリとする。
これは傑作ですね。



映画 スクリーン(秋田シネマパレ

[関連作品]
市川崑 『犬神家の一族』
角川大映映画展 in 秋田



↑面白かったらクリック☆ありがとう!人気ブログランキングへ

にほんブログ村 映画ブログ 映画備忘録へ
にほんブログ村へ

blogramで人気ブログを分析