『家族ゲーム』 1983年・日本
30年前の作品で衝撃を受けるというのは、この上ない喜びではないか。
どのシーンも懐かしく。
どのシーンも愛おしい。
家族とは食卓だ。
形も大きさも、並ぶ料理たちも。
居間の無いこの家庭に、あるのはカウンター状の食卓。
横並び。誰もが誰の顔も見ていない。
このインパクトはどうだ。
家族4人に家庭教師、5人で食らう。
狭いものだから、ぎゅうぎゅうで。
この混沌はどうだ。
可笑しさに散々ケラケラと笑って、ふと背中が寒くなるこの感じ。
ぎくしゃく家族に落ちた大きな石の波紋をまともに食らって、こちらまでもが高揚する。
面白いとは、こういうことだ。
森田芳光監督が才気煥発、まだまだ怖いものなしの気配。
トボケ&バイオレンスの松田優作。
「いやらしい」といえば伊丹十三。
コント才女の由紀さおり。
この才能たちが寄ってたかって生み出した、教育的指導映画。
その真ん中の宮川一郎太は、卑屈な笑顔の配達人。
また、好き脇役だった故・加藤善博は秋田市出身であり、職員室には麻薬王・清水健太郎がいて、助監督には金子修介!
TVドラマ版の長渕剛・松田洋治ペアより潔く淡白で、櫻井翔バージョンは初回で挫折ですみません。
幾つものブームを作り出した森田監督の、ブーム一発目。
いじめられっ子の劣等生が一発食らって目覚めて、それからの顛末。
全編アドリブにも思えるほどのリズム感。
クライマックスは格別。
混乱の後からラストにかけて、各描写が実に象徴的。
家庭とは戦場だ。
映画も、戦いだ。
満腹で幸福。ごちそうさまでした。
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[関連作品]
森田芳光 『の・ようなもの』『僕達急行 A列車で行こう』『失楽園』
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