『監督・ばんざい！』 2007年・日本
私事ながら、バブル時代を乗り越えてきた友人が、男性と食事をして自分で財布を出したことがない。
と言っているのを聞いて、常にワリカンだった自分は何だったのかと途方に暮れた当方である。
時代は同じだが、おそらく当方の何かが悪かった。
北野版『オールウェイズ』で抱腹しながら、わかるわかるとヘッドバンギング。
井手教授には実に懐かしく、アホすぎて、アホをアホがやる意味に感銘。
アホ情熱を持続させて、アホを映像化する意味、無意味さに、また腹を抱えたり頭を抱えたり。
ジャンルは、「なんじゃこりゃ映画」だろう。
得意のバイオレンスを封印して、流行りの映画パターンを次から次へと試す監督・北野武。という構成。
元ネタがわかりやすく、時々、ハッとしたりして。
とはいえ、基本は全編、コント。
中盤までは相当、面白い。
噴出しまくりで、大喜び。
滑り倒し始めて、ああ、この微妙さ！
アホだなあと思う。
本当に、阿呆だ。
それでも好きなので一生ついていきたい、アンビバレント。
今回の北野武監督は、名監督じゃないほうの顔。
今作は『座頭市』と『アキレスと亀』という名作に挟まれている。
と、流れで考えると、意味があるように思えてくる。
と、無理矢理。
実際は、アホなことをやりたかったのだろう、単純に。と、想像する。
江守徹は大丈夫なのか。これはスゴイのか、怖いのかわからない。
藤田弓子にあんなことをさせるとは、罰当たり。
岸本加世子の安定感。
鈴木杏の顔面ぽっちゃり感。
観終わって、心に残るのは井出らっきょ。
現場でも一番ウケたというシーンのほとんどがカットされたそうなので、全部観たいような、このままでいいような。
鑑賞から少し経つこともあり、本当に井出らっきょしか思い出せないほどなので恐縮なのですけれども、前半のコントは楽しい。
後半は忘れてしまいたいかもしれない。
かように、さすがの北野武ファンもクラクラする無茶苦茶さであり、装置を製作するスタッフの苦労も偲ばれるのだけれども、北野監督はこういうガス抜きがないと煮詰まってしまうだろう。
だから、これも必要。とっても。
DVD
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