$世界映画博-のぼうの城

『のぼうの城』 2011年・日本


これは・・・思ったのと違う・・・シリーズ。

才気煥発な男の話と予想。
2万人の石田三成勢に対し、わずか500名で勝利した武将。
となれば、奇襲だろう。策士だろう。
そんな実話があったとは。胸が躍るではないか。

ところが、始まってみたら様子がおかしい・・・

・・・なんと!そういうことであったのかと驚いて、肩透かしを食らって、よろけた勢いで笑顔になる。
この男、予想GUYと呼んでいいですか?
そんな武器を持っていたとは、成田長親という、でくのぼう。


兜の意匠が実に愉快。
まるで、戦国時代版『ワンピース』。
各々の武将に得意技、出で立ちのオサレ感もハンパない。

何より、戦の準備行程が興味深い。
農民は予備自衛隊であるとか、
一つの戦は数日かかるものだとか、
大河ドラマではスルーされがちな実戦を知る面白さ。


野村萬斎は飄々として、阿呆なのに品があるという得意パターン。

萬斎ファンなのに、佐藤浩市のカッコよさにクラックラした!
漫画『ベルセルク』を実写化するなら、ガッツ役はこの人。年齢不問。

榮倉奈々は絶世の武道美女というよりも、緑のたぬき過ぎた。武田鉄矢が出ていたと錯覚するほど、たぬきだったのは惜しまれる。

上地雄輔は、野球と俳優業は打率が高い。石田三成役も三遊間を抜いた。太鼓を打つ姿は、さすがのフルスイング。

和田竜の原作で、監督は2トップ。
犬童一心監督は、こういう笑いが好きなのだなあと実感。
樋口真嗣監督は、やはり特撮専念が得策。ド迫力のスペクタクル。孤高の監督業は、もうやらなくていい。気がします。

エンディングはエレファントカシマシ(大好物)に載せて、味のある背景。
この地の上に、今がある。


震災のため、上映延期になったのも止むを得まい。
水攻めシーンが圧倒的すぎる。
濁流がのたうち回る様は、TVやネットで見た津波の映像そのまま。

よくできているからこそ辛すぎて、本来は壮大な一瞬が、胸にズシリと伸し掛ってしまった。

製作陣は何も悪くない。
本来は痛快な映画だ。
あのタイミングで出来上がった作品という点で、時間の皮肉を見る思い。



映画スクリーン(TOHOフリーパスポート)


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