$世界映画博-幸せへのキセキ

2011年・アメリカ 


配給会社が感動を押し付けてきやがる。
そうなると、もういけない。
観に行きたくない。

映画宣伝は大変だ。
この邦題はどうした。
キセキの発音がわからない。軌跡か奇跡か、もしや、鬼籍なのか。
これはタイトルとして、どうだろう?どうですか?

そんな罠に足を取られて、見逃す危機一髪。あぶない。


開始5分で爆笑。
めちゃくちゃな話が始まる。

あれ?この男、もしや・・・アホ?

妻を亡くして、家族が消沈。
そんな時に思いつきで家を買う。
広大な庭に、DB完備。このDBって何ですか?動物園です。

アホでなければ出来ない所業。

そこで出会う面々。
これが皆が皆、動物狂。
動物ド素人家族と、動物バカ従業員。
無鉄砲と、浮き世離れ。


夢物語のような実話に、飲み込まれていく。

人は底の底まで沈むと、極端に走りたくなる。
不倫・出奔を経て、仏門に身を投じた瀬戸内寂聴がよい例かと思う。
この男のアホさ、寂聴状態。
その流れに、無理がないのだ。


何より、セリフが飛びっきり。
たった一言で動物臭が伝わってくる。
臭せぇー、と嬉しくなる。
ここは映画館なのに。

日常の機微にどっぷりハマる。
ケンカ言い合い、これが実に実に、身に覚えがある系である。

久々に、メモしたくなる言葉がたくさん。
最後の一言などは、鳥肌もの。
若者のラブなセリフにも萌えた。当方は、ババアなのに。

ストーリーには緩さもあるのだけれども、気にならない。
厳しさだけがリアルとは限らない。気がします。


この素晴らしい脚本を書いたのは誰だ?と思ったら、アライン・ブロッシュ・マッケンナ、そしてキャメロン・クロウではないか!
というか、キャメロン・クロウが監督ではないか!
この人の監督・脚本『セイ・エニシング』は傑作。そして今作も。

マット・デイモンがアホな父。
この人はアクションよりも、やはり、こういう芝居が本領。
混乱する父親を演じて、最高。
とても、可愛げがある。

動物バカのスカーレット・ヨハンソンには驚いた。
こういう役もイケるのですね。
美しくて凛としている印象が強かったせいか、泥に塗れた姿にハッとする。

息子のコリン・フォード、あの頃のエドワード・ファーロングに似て美少年!
娘のマギー・エリザベス・ジョーンズ、可愛すぎて頬が緩みすぎて痛い。

各動物には、それぞれの動物トレーナー。
この方たちの仕事ぶりが、驚異。
クマが、トラが、芝居をするのだ。悲しい目をするのだ。
胸、鷲掴み。


心には、何かを失くしたときに穴が空く。
立ち止まったら、塞がらない穴だ。
前へ進んだ者だけが、埋められる空虚。
得られる宝。

アホな男は家族を抱えて、従業員を巻き込んで、進んでいく。
ぬかるみに足を取られながら。

そうやって何度も何度も─
ちょっと待て、何度泣かせるんだコンチクショウ(満面の笑顔)



『幸せへのキセキ』 WE BOUGHT A ZOO

映画スクリーン


にほんブログ村 映画ブログ 映画備忘録へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ

blogramのブログランキング