$世界映画博-白夜行

2011年・日本 


GW明けにようやく晴れた5月に、さっそく暗い話題でご機嫌を伺います。


原作未読。
ドラマ未見。

くすんだ色調の幕開け。
誰かが死んでいる。

冒頭から、実録事件もののような印象。
音楽のせいか、カット割によるものか、市川崑監督作品のような雰囲気。

緊迫感。

事件の渦中に少女と少年。


刑事、少女、少年と視点が変わる。
年月が経つ。
そのたびに、映画の雰囲気が変わる。

そこで少々、視点がぼやけてしまうのがもったいない。
断罪するのか、寄り添うのか、肯定するのか、同情するのか。

観客に委ねるべきではない核心が、幾分、放り投げられているような後味。


堀北真希と高良健吾。
2人とも純粋で傷を負っていて、清らかに見えてよい。
ただ、それぞれが引っ張らなければならないシーンで、遠慮しているようにも見えた。

2人とも、ガラスに埋め込まれた強靭さのようなものを見せてもらえたら、もっと映画が締まったのではないでしょうか。どうでしょうか?
もちろんこれは、脚本や演出の問題でもあるけれど。


船越英一郎は、よい。
この人、昔は「船越英二の息子」であった。
「片平なぎさの相棒」を経て、今や「マツイ棒の夫」である。
今作は、この人が主役かと思えてくる。
この人のシーンは場面が緊迫していた。さすが、肩書きに屈しない男。

田中哲司、下品でいやらしくて、よい。
あの白ブリーフは好印象。


深川栄洋監督、こういうテーマは難しかっただろう。
興味本位に捉えていない姿勢が好感できる。

欲を言えば、芝居の演出パワーがさらにあれば。
主演2人は元より、脇の芝居が役者任せに見えたりする。

深川監督・入江信吾・山本あかりの脚本は、とても大事なシーンで崩れてしまったかもしれない。
残念すぎる。
もしかしたら原作通りの言葉であったのかもしれないのですけれど、あのセリフは唐突だ。
それは、そこまでのシーンの積み上げが見えなかったからではないかと思う。


こういう話は今や、巷間に溢れていて観客は食傷気味かもしれない。
映画、小説、事件、インターネット。
うんざりするような話は山ほど。

そんな、マイナス感情を過剰摂取している客を引きずり込むような、雑多な興味本位の視線を超えた悲哀を見たかった。

もっと、胸を打って欲しかった。

このテーマなのだ。
もっと、と望むのは、酷だったでしょうか。



『白夜行』

映画WOWOW


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