$世界映画博-ゴーストライター

2010年・フランス・ドイツ・イギリス 


↑この3ヶ国が共同製作。映画には関係ないのですけれども、時代は変わるのだなあと第2次大戦に思いが飛びます。


で、ロマン・ポランスキー監督である。
巨匠である。
この頃、思うことがある。
人間、巨匠と呼ばれるようになったら終わりが近い。

創作に定年は無いのだけれども、力が落ちていく人々がいる。
若い頃に、エネルギーが爆発していた人にこういう傾向が見られる。

しかし当人の責務かというと、観客側の責任であることも多い。
期待してしまうのである。
ロマン・ポランスキーである。
スコセッシである。
もの凄いのを一発、ブチ込んでくれるのではないか。
風穴を開けてくれるのではないか。

だって、スコセッシである。
ロマン・ポランスキーである。
この阿呆な頭に一発と言わず二発三発と、放ってくれるのではないか、何かを。
というか、スコセッシ監督はここではあんまり関係が無い。


もう、そんな期待はしてはいけないのかもしれない。

この作品も、つまらないわけではない。

しかし、普通なのである。
普通。
ロマン・ポランスキーが普通。
ナチス政権下のユダヤ人ゲットーから逃れ、カルト教団に嫁を殺され、ロリ強姦で起訴され、つい先年もロリ猥褻で拘束されるという壮絶な一生を背負っている映画監督の作品が、普通のサスペンスになっている。

ところどころ、素敵な映像はあるのだ。
当方居住の秋田を思わせる薄明るいグレーの空、雹混じりの雨、冷たい海。
雨の落ちた車道、深い森。
気の利いたセリフだってある。

なのに物足りない。


ゴーストライター役のユアン・マクレガー。
初めて、カッコよいと思った。
そのカッコよさで色んなことがうまくいったり、うまくいかなかったり。
ただしイケメンに限る、という言葉はこのユアンのためにある。

ピアース・ブロスナンが英国首相役というのは、MI6ジョークからの配役だろうか。
可もなく不可もないが、若干、クドい。気がします。

ストーリーに斬新さは特に見られないのだけれど、短期間にあらゆる心理、真相、人間関係に肉薄していくこのゴーストライターは、おそらく職業を間違えた。
MI6に入るべきだ。


けれど、つまらないわけではない。

ロマン・ポランスキー監督作品なのだと思わないで観たら、もっと楽しめたかもしれない。

巨匠という言葉は厄介で、巨匠を持ち上げようとする映画界もまた、厄介だ。
イチバン厄介なのは、監督の名前に何枚も期待のベールをかけてしまう自分である。


と、極東のアホがアレコレ言いまして、ごめんなさい。巨匠。



『ゴーストライター』 The Ghost Writer

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