2000年・日本
インターネットを通じて恐怖が・・・という触れ込みであったので、知らずにエロサイトをクリックしたら海外に接続されて高額請求の憂き目に遭う(当方、実話)という恐怖かと思ったら、違うらしい。
しかし、画面が暗い。
幽霊を見失うほどに暗い。あれ?どこいった幽霊?状態。
そして、恐怖。
もうそろそろ終わりだなと思って見たタイムカウンターが、1時間半。
この映画は2時間と知っていた。
あと30分もあるのか・・・っ!という恐怖。
中盤までは惹きつけられた。
心霊の描き方がよい。
ビクッと震えた。
わあ!と声が出た。
画面の衝撃度も高い。
肩がすくんだりもする。
2000年当時のPC事情も懐かしく、期待が高まる。
ところが、雲行きが怪しくなってきた。
アイデアは面白い。
ただ、セリフがひどく観念的なのだ。
心霊というものは、そもそも観念的である。
だからこそ、説明台詞や独り言ではない、明白なセリフが欲しくなる。
頭の中で組み立てられた言葉だけを発しているような違和感はワザとなのかもしれないのですけれども、言葉のやりとりから浮かび上がってくる怖さを見せてもらえたら。
終盤のご都合主義的な段取りへと突っ走る壮大な謎展開も、恐怖。
いろんな物の在処を、初めてそこに行く人たちが知っているのは、みんなエスパーなのかなあ?すごいなあ・・・などと、フワフワしてくる。
せっかくの序盤の薄ら寒い怖さが霧消してしまって、もったいなかった。
麻生久美子はよい。
加藤晴彦の唇も恐怖。
小雪は白い。
哀川翔がどこに出ていたのかわからずに、終了後に慌てて検索した。
カメオでありながら、ある意味、全ての俳優を食っている役所広司も恐怖。
黒沢清監督は、怖がらせ描写はピカイチ。
得体の知れないゾクゾク感も抱かせてくれる。
しかし本作は、セリフが作品の裾を引っ張ってしまった印象。
言葉のプロである脚本家に任せてみたら、化学反応が起こったかもしれないと思ったりするのだけれども、どうでしょうか?
映像だけの恐怖は、持続力に欠けてしまう。
あの壮大さは霊界の怪異なのか、インターネットの暗示なのか、わからんちんになって残念なり。
『回路』
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