諸原橋を渡り、立町地区で旧中山道の街並みと水場の風情を楽しんでいた探検隊一行は、我々を見かけて出てきてくださった荻原簡易郵便局のご主人に話を聞くことになった。
※ 諸原橋の向こうに広がるのが立町の集落
諸原橋の成り立ちなどをお聴きするうちに、ひょっとすると、ご主人は、隠れ滝のこともご存知かも知れないと思い、駄目元で尋ねてみた。
私 「さっき、隠れ滝に行ってきたんですが、祠がないんです。去年はあったんですが、今は建物の基礎で
あろう石積みしかないんですよ。ご主人、何かご存知ありませんか?」
(これでは刑事の聞き込みだ。)
<在りし日の隠れ滝の祠>
<祠の跡>
ご主人「あぁ、あれは、老朽化が進んだので、諸原の集落の人たちが祀りなおしたんですよ。」
私 「ってことは、お姫様を祀っていたのは諸原の集落の人たちなんですか?」
ご主人「そうです。追っ手から逃れたお姫様が助けを求めたのは、諸原の集落なんです。だから、かくまっ
てあげられなかった諸原の人たちがお祀りした。ただ、厳密に言うと、お祀りしているのはお姫様で
はなくて弟と従者。お姫様は山を越えて姫淵に身を投げたと聞いています。」
なんだって!?
ご主人「祠は新しいのを作って別の場所にお祀りしているそうですよ。諸原の集落に祀っていると
思います。」
私 「なんで上松で何人ものお姫様が身を投げたのか、不思議に思っていたんですよ。
ありがとうございました。」
我々探検隊は、諸原橋を渡り、諸原集落に戻った。できれば、新しい祠を探したい。
しかし、集落内は、思いのほか道が入り組んでいる。民家の庭に突き当たり、引き返さざるを得なくなった。
すると、道端に古めかしい道具が。おーっ。これは正しく隠れ滝の祠ではないか?
隠れ滝の祠の写真は、収めてあった小屋の格子が邪魔をして見にくいが、屋根の形状からして、恐らく同一のものであろう。(※ 拡大してご覧ください。)
つまり、新しい祠を作り、神様を祀りなおしたので、魂を抜いた古い祠が道端に置いてあったということだ。
処分しなくていいのかなぁ。
追っ手から逃れた姫が隠れ滝に身を投げた、とするのが一般的な隠れ滝の伝説。
しかし、姫淵にも島集落でかくまってもらえなかった姫が身を投げたという伝説がある。
【過去ログ】伝説の舞台『姫淵』 ~少女に何が起こったか~ 前編 後編
ひょっとして、この2人は同一人物であったのか?それとも、似たような伝説が形を変えて伝えられたのか。
諸原でも島でもかくまってもらえなかった、と考えれば、話はつながる。
結局、この日は、新しい祠を発見することはできなかったが、いずれ、諸原の集落で詳しくお話を聞かなければならない。
謎は深まるばかりだ。(momo)