生きた理由 | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

寒いの大嫌いだけど、今は陸奥の雪に飛び込みたいです。
こんにちは!有加を演じさせていただきました、かんです
花
この度は『後三年記』にご来場いただき、誠に誠に誠に、ありがとうございました!

 

 

さて、唐突になんだよ、って感じですが、わりと私は役作りの時、役にはいる時、何かの曲を使います。

今回のテーマソングは、Do As Infinityの「柊」。全体の曲の雰囲気はもちろんなのですが、歌詞がね、ぐっさぐさ突き刺さって、1回本気で泣きましたよ。

 

“自分が気づいている弱さ 自分に耐えられない脆さ

 見えないふりをしたまま生きていく”

“長い橋 引き返す勇気もなくて”

“全てを受けいれる程 強くない”

 

歌詞の一部です。ここら辺でぎゃん泣き。

今回のこの曲について、いつか誰かに話したかったのだけど、結局言わないまま終演しちゃったので、意味もなくここで言いますね。(普通に良い曲なので、良かったら聞いてみてくださいね。笑)

 

 

今回演じた有加は、個人的に、とってもとっても思い入れがある役です。

だから以下、うざいくらい、有加について書いちゃいます。どうかお付き合いくださいませ。最後だし!

 

「有加」。本当にこの子は、私がどう作っていこうか…というよりは彼女が勝手に喋るし暴走します。役になる、というよりは私が彼女に引っ張られる感覚。

今まで多く演じてきた殿方の三歩後ろに下がって…みたいな役に比べて、彼女は自分の想いをストレートにど直球に投げてくるので、自らの願いや覚悟も、周りに生きる人たちへの気持ちも、ものすっっっごく強くなるんです。

 

有加は約2年前に上演した『陸奥話記』と同じ役だったわけですが、初めて本公演の台本を読んだ時は、

お久しぶり~、元気……そうね。そうですよね。あーはいはい、どうぞまた私の身体使ってくださいな。

…という感じでした。なんか霊媒師みたいなこと言ってるね。霊感はゼロですよ。ちょっとうまく言えないんだけど、とにかく、彼女にはほんと振り回されるんです。笑

 

このお話の根幹となる「金色に輝く御堂、誰もが幸せに暮らせる楽土」。清衡は父と母に託された、と言っていますが、私は、わたしが、夫から手渡された夢だと思っています。わたしが清衡を守り抜くことで、皆が共に生きる楽土を実現させる。そしていつか楽土で夫に会って言うつもりでした。どうだ、お前との約束、守ったぞ(褒め称えろ)って。

 

夫や家族を失ってから、清原のもとで暮らす本作品までの間の彼女の人生は生きていませんが、まあ、それはそれは、相当の屈辱だっただろうなと思います。それこそ、死んだ方が、楽。

でも、約束があるからわたしは生きました。わたしの生きる理由は、ただそれだけでした。その為に生きていました。

逆に、、、それがなければ、生きていけませんでした。何かが切れたように、多分きっと、すぐ崩れ落ちる。本当の自分は脆くて弱い。夢を理由に、清衡を理由に、自分を守っていました。

 

家衡に反抗されたあの時、そこを突かれたような気がしました。

平等に扱うべき二人の息子に対して、片方に想いを強く寄せている。「兄上ばかり見ている」。結局それは、託された夢を、なんとかして、自分のために、叶えたいという願いが表に出てしまっているから。誰かの為と言いながら、結局は独り善がり。夫と二人で抱いた夢と言いながら、実は自分ひとりが執着して手放せない何かなんじゃないか。

清衡が戦に出るという時も、秀武を見殺しにできないという息子の意見も理解しながら、仁子や万寿丸に辛い思いをさせるということを盾に、自分を守ろうと必死でした。彼がいなくなれば、生きる理由も、生きてきた理由もなくなってしまいますから。ほんと、歩いてきた長い橋を引き返す勇気なんてないんですよ。これが正解、と信じてきたものにすがることだけで精一杯。

 

清衡は、夫の残像というよりは、夫から託された夢であり、夢を実現させるためのもう一人の自分であり、わたしの生きる理由でした。

家衡へ。ごめんね、愛してないわけじゃないよ。わたしが、弱かった。

 …あ、ちなみに、裏で家族(家衡除く)で円陣組みましたが、ちゃんと個別に家衡も抱きしめに行ったよ!(え?そうでしたっけ?って困った笑顔で言われそう~)

 

 

さて、どうやってまとめるか考えずにここまで書きました。どうしよ。収拾つかなくなってきた。支離滅裂でごめんなさい。笑

 

 

まあ、そう、とにもかくにも。

有加の人生とても辛かったけど、想いが強い分深い傷も負ったけど、でも二回続けて、最期まで彼女を生きれたこと、心から嬉しく、かけがえのない時間だったなと思います。

最期は、強すぎる想いに身を滅ぼされました。家衡に、というよりは、自らの想いが引き寄せたことだと思っています。でも、一般的に見ればあまり良い最期ではなかったかもしれないけど、自分の信じたことを最期まで信じ通したことに悔いはありません。経清、わたしは、生き抜いたぞ。

 

 

ほんと、、、他の先輩方も書いているように、本当に一人ひとりの想いが強すぎる公演だったなと思います。誰かからの想いを、受け取ってもらえたでしょうか。今回の舞台でそれぞれの人間が、それぞれの理由で必死に生き抜いた様に、何でもいいです、何か、を感じ取っていただけたなら幸いです。

 

 

最後になりますが、私を有加にしてくれた役者の皆さま、有加として舞台に立たせてくれたスタッフの皆さま、そしてそんな有加の姿を観に来てくださったお客さま方、本当に!本当に!ありがとうございました!!!

公演ごとに思いますが…何もできない私をあたたく見守ってくださる皆さまに、心から感謝です。

 

 

今回の劇場がある仙川駅まで、各駅しか停まらない?いや他でも停まる?わかりにくいわっ!…みたいな会話が楽屋で飛び交ってましたが。。。笑

次回公演も同じ劇場です。来年になりますが、是非観にいらしてくださいませ!

 

また、皆さまにお会いできる日が来るといいな。。。

またいつの日か。かんでした!