偶然だった

那智さんの亡くなった日に

彼を恋しく思っていたとは



ニュースを聞いて

やはり泣いた


今も

グズグズしている



私の好きな声が

どんどんと亡くなっていく


塩沢さんから始まって

この悲しみはおそらく

何でもない人には、ホント

何でもないことなんだろう


だけど

私には一大事だ


脳内に生息する

良い男がいなくなるのだ


またひとり、またひとりって


こんなに怖いことは、ない


どんなに辛くても、忙しくても

無茶苦茶でもやっていけるのは

良い声を聞けるからだ


声は、全てだ


耳から入る美声は、私を癒してくれるから

どんな薬よりも覿面に効く

私のビタミン剤なんだ


そんな声を発する人達が

次々にいなくなる

この数年で、もう何人も


耐えられない

身を切られる想いだ


もう、あのマクレーンを聞くことはないんだな


煙草を吸うお姿は印象的ではあったが

それが諸悪の根源か?


あなたは人生を楽しんだか?

納得した今生であったか?


私は、納得出来ず

今もあなたの声を欲する


あの

かったるいような、あの言い方

ジョン・マクレーンはまるであなたそのものだった


素晴らしい演技を有難う

私はあなたに育てられた

その声を聞き

洋画を愛した

その声で

主人公に想いを馳せた



ご苦労様でした

ご冥福を心からお祈り致します





だから

今日

サザエさん見てても思ったよ


永井さん、長生きしてよね

増岡さん、頼むよホント



外画見てても思う


芳忠さん、玄田さん

お願いだから


誰も

誰も

死なないで


長生きして

いつまでもその声を



私の好きな人達の訃報を聞くのは、辛い


最も愛するあの人達も


私より早く亡くなってしまうのだろうか



そう考えると、怖い





怖い半面


兄さんの最期なら


別に付き合うのも悪くない


そんな風に心に


凪風が吹くよ


兄さんの心得など吹き消してしまう凪風だ




私は、それに従う







いや、やっぱ

楽は許されないか





兄さんに、従うよ