「…?」

キョーコは首を傾げながら、クーとの電話をきった。

(私、変なこと言ったかな?)

クーの様子が変だったため、キョーコは首を傾げたようだ。

「まあ、いっか。それよりも、やっぱり息子さんだったんだ…この人。」

停止したままの場面に映っているクオン。クーは言った。確かに息子だと。

「…ジュリエナさんってどんな人なのかしら?お母さん似って先生が言ってたから、すごく綺麗な人なんだろうな~。」

息子がこんなに綺麗なのだ。母親は凄いに違いない。

「クオンさんも王子様みたい…本当にいるんだ、こんなに綺麗な人…。」

思わず、ウットリするキョーコ。頭の中はメルヘンである。

「きっと王子様の格好がよく似合うわ…ううん、間違いなく似合う!う~!想像したら見たくなっちゃったよ~!!」

悶えるキョーコ。かなり見たいようだったが、

「って!本題はそこじゃないわよ、キョーコ!!敦賀さんにバレちゃいけないんだから!!」

とたんに本題を思い出したらしい。

「この際、クオンさんにしちゃう?一目惚れしたとかにして…こんなに綺麗な人だから、一目惚れでも変だとは思われなさそうだし…うん、そうしよう!」

そうと決まれば、とキョーコはクオンについて調べ出したのだった…。

「…変ね…。」

後日、事務所から借たパソコンで、ラブミー部の部室で、クオンについて調べたのだが…。

「全然、情報がないわ。てっきり、どこかで俳優活動してると思ったのに…。」

あの容姿で、映画に出ていたと言うことは、俳優希望だと思ったのだが、本当にドコにもなかった。

「一般人になってるのかな…。」

ないと言うことは、恐らくそうだろう。

「まあ、いいか。片思い設定だし。」

両思い設定なら話は違うが、片思い設定なのだから、大丈夫かとキョーコは思った。

「…あ。はい!」

すると誰かがノックしたので、キョーコはドアを開けた。

「久しぶり、最上さん。」

ドアを開ければ、神々スマイルした蓮が目に入って、

「会いた…。」

バタンと開けたドアを閉めるキョーコ。

ハッと我に返った時には遅く、ドアが開いて、

「…なんで閉めるかな?うん?」

極上似非紳士スマイルをした蓮がいた…。