シーツに隠れてしまったキョーコに蓮は苦笑いしていて、

「ごめんってば!だから出てきて?」

謝って彼女が出てくるのを待つと、

キョーコはシーツから頭だけ出してジっと蓮を見る。

「…本当に悪いと思ってます?」
「思ってるよ?」
「本当に?」
「うん、本当に。」
「…分かりました…。」

渋々と言った感じで、シーツから出てきたキョーコはベッドの上で正座すると、

途端に顔を真っ赤にした。

「あ…あの…ど、どうして私は敦賀さんのパジャマを着ているのでしょうか…?」

どうやら、たった今、キョーコは自分の格好に気がついたらしい。

(し…しかも!パジャマ以外何も着てない感じが~!!)

直接、布地が肌が当たる感覚があるためにキョーコは自分がこれ以外に何も着ていないことに気づいて、さらに顔を赤くする。

「…ごめんね?熱があったから脱がせなくちゃいけないと思って脱がせたんだ…でも安心して?シーツかぶせて脱がせたから見てないよ?」

確かに蓮は見ていないのだが、

「…は…。」

(ん…?は…?)

「は、破廉恥です~~!!」

歩く純情さんには、十分恥ずかしいことだったらしい。

「つ、敦賀さんなんて大嫌いです~~!!」

恥ずかしいとは言え、キョーコはそう発言してしまい、

「ふーん…。」

空気の温度が下がったのを感じて、キョーコは蓮を恐る恐る見た。

「嫌い…なんだ?俺のこと。」

(よ…夜の帝王ーー!!)

「いいよ?別に嫌いでも。」

そう言って、口元を笑わした蓮は彼女の唇を撫でる。

無理もないかもしれない。

彼女からちゃんと好きと言われるのを待っていたのだから…。

「い、いいえ!!す、好きです!大好きです!敦賀さん!!」

何かの身の危険を感じてキョーコは首をふりながら好きだと言ったが、

「もう手を遅れだから。」

にっこりと紳士スマイルされた途端に、キョーコは押し倒され、あっという間に組み敷かれる。

「だから、もう我慢しない。」

キョーコは無意識に枯れたゴムを引っ張ってしまった。

こうなっては彼女に逃げる術もなく、蓮に好きなようにされた…。



その後。

キョーコはあの夢を見なくなった。

原因は現実で蓮と両想いになれたからであろう。

あの夢を見せたのは小さなお香。

マリアのプレゼントだった…。