博多川沿いを海のほうに向かって歩くと、すぐに明治通りに出る。
大雑把に言って、天神と中洲界隈は渡辺通りとその西側を併走する天神西通り、ちょっと離れているが博多の大博通りが南北の縦軸、博多湾側から那の津通り、昭和通り、明治通り、国体道路が東西の横軸のハシゴのような形になっている。もちろん、それ以外の道もいろいろあるし、国体道路のように部分的に違う名前になっている通りもあるのでややこしいことはややこしいが、基本的にはそれさえ知っておけばこの辺りで道に迷うことはない。
「Change the world」第23章より
(明治通りの西大橋より。作中で真奈が言ってるよくある構図ってやつです。シルエットで分かりにくいですけどであい橋も写ってます)
さて、前回(3.5回)の真名さん宛てのレスにて「非常に申し訳ないのですがこの企画、まだ終わっておりません。この後、天神編があるのですよ」と書いておきながらまだ中洲ですが。(笑)
とりあえず、2人(永一&真奈)の足どりを簡単におさらいしておきますと、
この地図のようになります。
・キャナルシティを出発、国体道路を歩いて西中洲へ。
・食後、国体道路を中洲方面へ戻り、春吉橋の袂から屋台通りと反対の川沿いの道に。
曲がってすぐに別れ道がありますが、ここが由真が志村を巻き込んで道を違えたところ。2人は一旦直進してから戻ってます。
・中洲を横断。博多橋のところで博多川沿いに左折。そのまま直進してバー・ピアニッシモへ。
作中では1度も言及されてませんが、博多橋とは第3回の「冷泉公園」のところで触れてる橋のことです。
(こちらは博多川から見た中洲の昼と夜の比較。ちなみに中洲が何故にあんなに暗い街並みなのかというと、偏えに「街灯が少ないから」なのですよね~。ネオンの灯りがあるので真っ暗なところはありませんが、さすがに光量不足は否めません……)
・バーを出て博多川沿いを明治通りへ。(上の引用部分)
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さて、ここで少し本編から離れますが。
真奈はまったく触れておりませんし、作中にも1度も登場させておりません(「Left Alone」で真奈が白昼の暴挙に出る場面で名前だけ出してます)が、明治通りに出たところには2つのランドマークとなる複合商業ビルがあります。
1つは「博多リバレイン」、もう1つは「Gate's」です。
博多リバレイン(Hakata Riverain)は下川端地区再開発事業(北側なので地図で見ると上になりますが下流なので下川端。境界は明治通り)の中核として福岡市が第三セクターで作った複合商業施設。商業施設である「イニミニマニモ」と演劇専用劇場の「博多座」、老舗ホテルの九州初出店となる「ホテルオークラ博多」で構成されています。
博多座とホテルオークラはともかく、商業施設については当初から「あんなとこに作ってどうすんの?」的な意見がかなりあったようですが、案の定と言うべきか、最初の「スーパーブランドシティ」はあっけなくコケました。で、今はリニューアルの上で「イニミニマニモ(eeny meeny miny mo ← 日本の”ど・れ・に・し・よ・う・か・な”に当たる英語の数え歌)」として再オープンしてます。いわゆる海外のトップブランドや高級ブランドが多数入居している点ではあまり変わってないようですが。
で、一方のGate'sですが、ここはかつては「福岡玉屋」という老舗の百貨店でした。
ところが経営難で奇しくもリバレインのオープンと同じ1999年に閉店。
その後はずいぶんと長いことほったらかされてましたが、外資系企業などの主導で解体・再建設が行われて2006年に「Gate's(ゲイツ)」としてオープンしました。
ちなみに第3回で触れてますGate's裏の「地獄通り」ですが、昔は「玉屋裏」と呼ばれていて、実はその方が圧倒的に通りが良かったりします。今では玉屋がないので(ボッタクリ店も減ったし)その名は使われなくなりましたが。
(ついでに言うと地獄通りの名称は人によっては南新地の、出てくる泡姫が【禁則事項です】な店が集まる辺りの意味で使われます)
それはともかく、周りをキャナルやリバレイン、天神の各々のファッションビルに囲まれた、しかも歓楽街のど真ん中(つまり昼間は人は通過するだけ)のここで何をするつもりなのか――率直に申しまして「Gate's」のコンセプトってよく分からないのですが、それはどうやらわたしだけではないようで、開店からしばらくはテナントもロクに埋まらない状況が続いておりました。
現在もその状況にあまり変わりはありませんが、上の階には「トータル・ワークアウト」や「マハラジャ福岡」などが入居しているので、おそらく商業施設というよりは娯楽施設方面に向かうのだと思われます。
えー、ここまで長々と書いといて何ですが、
「でもなー、キャナルですら服を買わない真奈がリバレインとかGate'sに行くことなんかないから、別のシリーズでも始めない限りはここを出すことないなー」
ということに気づいたので、この2つについてはこの辺で。
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さて、そんなわけで明治通りに出た2人ですが、この後は、
・バスで天神へ。
ということなので、まずは明治通りの様子から。
右の写真は中洲大通りの北端。南新地のローソン前と並んで中洲の表玄関です。
このミスドは待ち合わせのメッカでもありまして終日混雑しておりますが、同じ表玄関の飲食店にしては国体道路の「カフェ・ザ・ランチ」とえらく客層が違うのですよね~。
何なんだろう、この差は……。
2人が乗ったバス停はこの映画館の少し向こう。昔は映画館はほとんど中洲にあったのだそうですが、今はこの一軒のみ。
そう言えば映画好きエピがある我が主人公ですが、映画館に行ったシーンは1度もないな……。
ところで「Change the world」で真奈が永一を乗せた西鉄の100円バスですが、作中の説明では分かりにくいので少し触れておきましょう。(まあ、福岡に来ない限りは何の役にも立ちませんが……)
中洲大洋劇場前のバス停からちょうどやってきた路線バスに乗った。親不孝通りはそれほど遠くないしブーツにはヒールがないので歩くのは苦にならないけど、三月の夜はワンピースとカーディガンで長い時間歩くのにはやや肌寒かったからだ。それに市内循環バスは区間内ならどこまで乗っても一〇〇円だ。向坂が乗るときに戸惑ったような顔をしていたのは、関東では後ろのドアは降車用だかららしい。
「Change the world」第23章より
そもそも100円バスというのを始めたのは西鉄なんだそうですが【要出典】、それはともかく。
ここでいう市内循環バスというのは博多駅と天神(ここでは渡辺通り周辺を指す)を周回するバス路線のことです。外回り(博多駅→キャナルシティ→春吉→天神→アクロス福岡→中洲川端→呉服町→祇園町→博多駅)と内回り(上記の逆回り。ただし、キャナルシティ前の停留所は交通規制の関係で前でも何でもないところに停まります)で、それ自体は何も問題ないのです――が、しかし。
上の本文を読むと、あたかも真奈たちが乗ったのは循環バスのようにとれますが、二人が乗ったのは市内循環バスではありません! もし、循環バスの乗っていたら2人は渡辺通りに差し掛かったところで強制的に左折させられ、親不孝通りも永一たちが泊まる西鉄グランドホテルからも遠ざかってしまうのですよ。真奈たちが乗ったのは実は福岡市西部方面へ向かう路線なのです。(路線図参照)
どうしてこういうことになったかというと、バス路線について本文でグダグダ書いても仕方ないので真奈の誤解ということにして端折ったわけですが……。(そして、ここでグダグダ説明する、と。笑)
ちなみに真奈が言いたいことを正確に書くと、
「それに西鉄の路線バスは市内循環バスでなくても、その周囲に定められた一定区間内ならどこまで乗っても一〇〇円だ」
となります。路線図でいう緑線の枠内なら他の路線でも100円ってことですね。そもそも、循環バス(当然、ぐるぐる同じところを回ってる)に区間もへったくれもありませんし。
まあ、心底どうでもいいことではありますが。
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さて、ようやく中洲を脱出した2人。これからバスに揺られながら真奈が明治通りの建物の解説をするわけですが、あまりにも本編と関係なさ過ぎるので割愛させて戴きます。書けないわけではないのですが、書き始めると異様に長くなるので……。
なので、この場を借りて真奈の語りにそらさんから別記事に戴いたコメント(アクロス福岡がラピュタに見える云々)を使わせて戴いているお礼だけ申し上げておきます。
(そう言えば、第19章で真奈が語る志村の予想進路(笑)は真名さんのコメントからの引用でしたね~。併せてこちらも感謝)
お・ま・け。
そう言えば第1回で「意外と実在する店の店の名前を出してない」とか書きましたが、こちらは思いっきり実名登場してます「かろのうろん」
メニューの画像がありましたのでご覧ください。ちなみに店の方は本当に「うろん」と発音されます。(笑)
(第5回へ続く)