911サウジ政府犯人説の茶番 | きなこのブログ

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911サウジ犯人説の茶番劇
https://tanakanews.com/160429saudi.htm

2001年9月11日に米国で起きた911の大規模テロ事件をめぐり、サウジアラビアが政府ぐるみで犯人たちを支援していたことが書かれていると憶測される28ページの非公開の機密文書をめぐる騒動が、最近また起きている。

911サウジ政府犯人説は、911の直後から根強く米国の政界や言論界に存在しているが、根拠が薄い。

機密解除を求める議員らは、問題の28ページが機密解除されさえすれば、サウジ政府の犯行だったことが確定すると言っている。

これまで解除を拒否していたオバマ政権が、6月までに機密を(一部)解除する方針を出したと最近報じられた。

問題の文書は、2002年12月に米議会の両院合同の調査委員会が発表した報告書の一部で、28ページの全体が黒塗りの機密扱いで発表された。

黒塗りされていない文書を見た当局筋の関係者が匿名で、そこに911テロ事件に対するサウジ政府ぐるみの関与について書かれているとマスコミにリークしたため、今に続く騒動が始まった。

それ以来、今日までの14年間、米国の議員や911遺族会などが、何度も機密解除を米政府に要請したが、受け入れられていない。

「911はサウジが政府ぐるみでやったんだ」という非難が独り歩きしたため、その非難を否定するサウジ政府も、米政府に対して機密解除を求め続けてきた。

サウジ政府は、機密が解除された方が自国への濡れ衣が晴らされるので良いと考えている。

親米が国是のサウジ王政は、911以来、米国との関係が悪化するのを恐れてきた。

サウジアラビアは昔から、軍の装備から軍用ソフトウェア、安保や諜報の戦略立案や運用をする人々まで、米国からの輸入品、米国で訓練された人々、もしくは米国人を使っている。

米国で訓練されたサウジ軍幹部の中には、米国のエージェントと化した人が多く、ソフトウェアにも裏口が設けられているだろうから、サウジの軍や諜報の動きは米国に筒抜けだ。

サウジの諜報部門が、米国に隠して大きな作戦をやることは、サウジ国内で行う作戦であっても、多分できない(日本の自衛隊と全く同じ状況)。

サウジの諜報部が、米当局に知られずに、米国で911のような大規模なテロをやることは、全く不可能だ。

サウジ当局者は、自分たちの対米筒抜け状態を知っている(米国との親密さを示すものとしてむしろ評価している)だろうから、米国でテロをやることについて、夢想すらしないだろう。

911をめぐる大きな謎は、サウジに対するものでなく、米国の当局自身に対するものだ。

米当局は、テロが起きることを容認した観があり、テロ後の説明もつじつまが合わない。

世界貿易センタービルの倒壊が、

飛行機の衝突だけでなくビル内部に仕掛けられた爆弾によるものであることを隠し続けたり、

国防総省に旅客機が突っ込んだとされる穴が旅客機よりはるかに小さく、

周辺に旅客機の残骸もなかったのに何の説明もないことなどから考えて、

米当局こそ911のテロに関与した自作自演の疑いがある。

米議会の「真相究明」報告書は、それらの疑惑を陰謀論と一蹴しており、むしろ真相を隠蔽する報告書になっている。

サウジの諜報機関は、ずっと米国の傘下にあった。

80年代にソ連占領下のアフガニスタンで、オサマ・ビンラディンらサウジ人などのイスラム主義の「聖戦士」たち(のちのアルカイダ)が、米国のCIAに訓練されてソ連軍にゲリラ戦を仕掛けて以来、サウジと米国の諜報部門は連携していた。

イスラム過激派のサウジ人がCIAに招かれて渡米して軍事訓練を受けた後、アフガニスタンに送り込まれる流れができていた。

アフガン帰りのアルカイダ系のサウジ人がCIAのビザで渡米し、911前の米国に多く住んでいた。

911の実行犯は、そうした人々の中にいた(彼らが本当に実行犯だったのか疑問だが)。

サウジ当局は、911実行犯のうちの何人かに米国滞在中の家を探してやったり、イスラムの慈善団体などを通じて生活費を支援していたことがわかっており、それが「テロ支援」だとされている。

だが、サウジの諜報部が911前に米国で活動していたのなら、それは米当局の作戦の一部を、作戦の全容を知らされないまま下請けしていたはずだ。

サウジ当局が911の発生に関与したのなら、それは米当局の無自覚な下請け役としてだ。

911に対するサウジ当局の関与を公開すると、それは「親分」だった米当局の関与を暴露するものになる。

だから、問題の28ページに最重要のことが書いてあるとは考えにくい。

911に対する米当局の関与を完全隠蔽する米議会が、サウジ当局の関与だけを示唆したがるのは、サウジに対する嫌がらせをしたいからだ。

911をめぐる政治劇の中で、サウジをことさら悪者にするのは、おそらくイスラエル系の勢力からの圧力だ。

イスラエルとサウジは、米国の中東戦略の立案過程においてライバルどうしだ。

オバマ大統領は先月、雑誌アトランティックのインタビュー記事「オバマ・ドクトリン」の中で、サウジとイスラエルが圧力団体を使って米国の中東戦略をいかにねじ曲げているかを嘆いている。

911後、イスラエルの代理勢力として「ネオコン」がブッシュ政権の世界戦略を牛耳り、イスラエルの国益になるイラク侵攻やイラン敵視をやっている。

ネオコンは「911の犯人であるサウジ政府を武力で転覆すべきだ」といった主張を流してきた。

昨年夏には、大統領選挙に出馬表明し、イスラエルにすり寄っていた共和党のランド・ポール上院議員が、米議会の911報告書の問題の28ページを機密解除する法案を出したりしている。

米政界において、サウジに対する嫌がらせの多くは、イスラエルへの追従として行われてきた。

とはいえ、今回は少し様子が違う。

以前のサウジは米国にやられっぱなしで、いくら米国から911に関して言いがかりをつけられても対米関係の悪化を恐れて黙っていた。

だが、15年1月に前国王の死去でサルマン国王が即位した前後から、サウジは対米従属からの離脱を模索している。

14年夏からは、米国のシェール石油産業(ジャンク債市場)を潰すための原油安の戦略をサウジが開始し、サウジはロシアと組んで米国潰しの原油安攻勢を続けている。

サウジがロシアと組んで米国に敵対することなど、以前なら考えられなかった。

米国(軍産複合体)は、対米自立をめざすサルマン国王の足をすくおうと、サルマン国王が即位した直後の昨年3月、イエメンのフーシ派に大量の武器が渡るよう仕向け、サウジ軍がイエメンに侵攻せざるを得ない状況を作った。

サルマン国王の国王即位後、サウジ王政の上層部では、サルマン国王国王やその息子のモハメド・サルマン副皇太子といった対米自立派と、モハメド・ナイーフ皇太子ら対米従属派との暗闘が激しくなった。

そのような昨年来の新たな状況下で、米国が911の犯人をめぐるサウジ政府に対する濡れ衣的な非難や嫌がらせを延々とやることは、サウジ側の反米感情の増大を誘発している。

911をめぐる最近の米国のサウジに対する嫌がらせは、28ページの機密解除だけでなく、911の遺族たちがサウジ政府の在米資産を差し押さえて自分たちのものにできる新法を米議会が検討していることなどもある。

この法案が通ると、米政府が、サウジ政府が保有している米国債を没収し、その資金をて911の遺族に与えてしまうことが起こりうる。

サウジ政府は、濡れ衣を重ねるこの法案に怒り、もし法案が通ったら、保有する巨額の米国債を売却すると表明した。

911をめぐる嫌がらせは、米サウジ関係を破綻させかけている。

すでに述べたように、サウジ王政は軍事面で対米従属を脱することが難しい。

対米自立をめざすサルマン国王らは、軍事面でイエメン戦争を起こされ、なかなか停戦もできず苦労している。

そのためサルマン国王らは、軍事と関係ない石油価格の面で、米国に逆襲するシェール石油産業潰しの原油安攻勢を続けている。

今回の米国による、911をめぐるサウジに対する嫌がらせの再発は、サウジがロシアと組み、原油安攻勢を持続する中で起きている。

米国がサウジに嫌がらせをするほど、サウジは原油安による米国潰しの画策を意固地に続け、米国と対峙する姿勢を強める。

オバマ政権は以前から、表向きロシアやイランを敵視し、サウジやイスラエルとの同盟関係を重視する姿勢を見せつつ、実のところ逆に、核協定でイランを許して強化し、シリアの解決をロシアに任せてロシアの中東覇権を強化してやった。

半面、イエメン内戦や911の濡れ衣でサウジとの関係を悪化させ、パレスチナ問題などでイスラエルとの関係も悪くするという「隠れ多極主義」の戦略を続けている。

911をめぐるサウジに対する嫌がらせも、この戦略の中にあると考えられる。

前出のアトランティック誌のオバマのインタビュー記事を見ると、これはオバマ自身の戦略だ。

オバマは4月20日にサウジを訪問した。

サルマン国王は、他の湾岸諸国の元首が来た時には空港まで迎えに出たのに、オバマの時は空港に来ず、米サウジ関係の冷却が報じられた。

オバマは、わざわざ自分のサウジ訪問の前に、911問題でサウジとの関係を悪化させ、自分のサウジ訪問時にサウジ側に冷遇されることを招いている。

彼は、シリア問題でも似たようなことをやっており、自分を意図的に失敗の立場に陥らせ、それを世界に見せることで、世界に対し、米国の弱体化や信頼性の低下を演出しているように見える。

サウジとの対立に関しては、オバマが自らの信頼性を低下させるほど、サウジを対米自立させようとしている30歳のモハメド・サルマン副皇太子のイメージが上がる仕組みになっている。

いずれ国王になり、長期政権を敷くであろうモハメドは、うまくいけば対米自立を果たし、仇敵だったイランとも和解し、中東を安定化させる立役者の一人になる。

911をめぐる米国からの嫌がらせは、そこに向かう力をモハメドに与えている。