米国のメルトダウンが始まる 2 | きなこのブログ

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ひどくなる経済粉飾
https://tanakanews.com/151115economy.htm

米国政府が11月6日に発表した10月分の雇用統計は、雇用者数が前月比27万人の増加で、金融界の事前予測18万人を大幅に上回った。

この堅調は、米経済の好転を示すものと報じられ、景気の好転が示されたので12月に米連銀(FRB)が利上げに踏み切る可能性が70%まで高まったと喧伝されている。

だが、米財務省の元幹部のポール・クレイグロバーツは、この雇用統計が粉飾されていると指摘している。

27万人の雇用の増加分の54%にあたる14・5万人は、実際の増加でなく、企業の創業によって増えた雇用数と、廃業によって減った雇用数を、数値モデル(birth-death model)に基づいて概算した「みなし」の増加分だ。

リーマン危機後、米国では新規創業する企業が減っており、このモデルは実態と合っていないとクレイグロバーツは指摘する。

また今回の統計は、年齢別の雇用増減を見ると、55歳以上の雇用が38万人も増えた半面、25から54歳の雇用は12万人の減少となった。

これは、時給単価が比較的高い54歳以下のフルタイム雇用の人々を解雇し、代わりに時給が安い55歳以上をより多くの人数でパートタイムで雇用した企業が多いことを示していると、クレイグロバーツが指摘している。

今回、複数の仕事を掛け持ちしている人が11万人増えており、彼の指摘を裏づけている。

フルタイムを解雇し、それより多い人数のパートを雇うと、雇用される人数が増え、あたかも雇用が拡大しているかのように見える。

だが、一人あたりの所得は減り、人々の生活苦は増す。

これは米国で何年も前から見られる傾向だ。

今回の雇用統計のもう一つの特徴は、製造業の雇用増加がゼロだったことだ。

雇用が増えたのは、小売り店、飲食店など、時給が低いサービス分野の仕事が多い。

この傾向は、以前からのものだ。

1980-90年代の債券金融技術の革命後、米国は金融の儲けが急増し、それがサービス分野の産業を拡大したが、製造業は伸び悩んでいる。

最近は、米国の小売店も不振が続き、百貨店のメーシーズの売上高が5%減り、アメリカンアパレルが倒産している。

小売り店は、売れ行きが悪化しているのに、先月1カ月で4万人も雇用を増やした。

これも、フルタイムを解雇してパートタイムを雇用した結果だろうとみられている。

米国の雇用統計が不正確であることは、すでに関係者の多くが知っている。

バークレイズ銀行のアナリスト(Tim Bond)は最近、米雇用統計が信用できないとFT紙にこぼすコメントをしている。

米大統領候補の共和党のドナルド・トランプは、労働市場への参加率の低下を見て、統計上の失業者から除外されている長期失業者を含めた実際の失業率が42%に達していると指摘している。

米国の実体経済は今秋、悪化の傾向が加速している。

米国内のトラック輸送の需要は、昨年に堅調で、運賃の上昇やトラックの不足が起きていたが、今年は一転して悪化し、運輸会社が減益傾向になっている。

商品の輸送は世界的にも減っている。

例年なら年末にかけての輸送の増加が始まる11月に入っても、輸送量が増えていない。

船積み運賃のバルチック海運指標は急落している。

米国も世界も、実体経済の需要が落ち込み、不況色が強まっている。

雇用統計が粉飾され、実際の米国経済がむしろ悪化傾向にあることは、米連銀も知っているはずだ。

それなのに「雇用統計の改善で、12月の利上げが確実になった」と報じられている。

米連銀は昨秋来、日本とEUの中央銀行に過激な緩和策(QEやゼロ金利)を続けさせて株や債券の相場を引き上げつつ、自分だけ利上げしてゼロ金利を脱し、ドルを基軸通貨として健全な状態に戻したい。

だから米当局は、雇用統計の粉飾を拡大する一方、連銀は「中国など世界経済の動向(悪化)でなく、雇用統計など国内指標の動向を見て利上げを決める」と言っている。

米連銀は12月に利上げするのか?。

私は懐疑的だ。

融「専門家」の多くは、12月の利上げを予測しているが、彼らは9月にも利上げを予測して外れ、外れたにもかかわらず、相変わらずの態度で今また12月の利上げを予測している。

金融界は当局と結託して「近いうちに連銀が利上げしそうな雰囲気」醸し出しているだけと考えられる。

利上げが行われず、ゼロ金利がずっと続くという予測が広がると、金融バブルの膨張が加速し、金融界が延命できる期間が短くなる。

「近く利上げがある」と人々に思わせることにより、バブルの膨張が小幅になり、次のバブル崩壊までの延命期間が伸びる。

マスコミや金融アナリストら「専門家」たちは、金融界と当局が結託して粉飾的な雰囲気を醸成する経済プロパガンダの談合システムの中にいる。

経済分析は、政府、マスコミ、金融機関、大学など、権威ある組織に属する人が発したものだけが「正しいこと」とされ、それ以外の人が発したものは「素人の間違い」とみなされて、一般の人々に信用されない。

権威ある組織はすべて、経済プロパガンダの談合システムの中にいる。

「権威ある分析のみを信用する」という態度を自覚的に外し、自分自身の頭で分析するようにすると、権威筋が発する分析が粉飾されており、インターネット上で散見されるリーマン危機後の金融システムの危機を指摘する分析の方が正しいとわかる

権威から外れている人々の間からは、米連銀が12月に利上げしないという予測が発せられている。

マスコミが破天荒とレッテルを貼る、談合破りの発言で知られる米大統領候補のトランプは、その一人だ。

彼は「連銀が利上げしたら景気が悪化する。オバマ大統領は、景気の悪化を、来年末の自分の任期末の後まで先延ばししたいので、連銀に利上げするなと命じている。だから来年まで利上げはない」という趣旨の発言を発している。

トランプの談合破りな発言は、多くの米国民に、トランプは事実を述べており、マスコミや当局筋の方が歪曲報道をしていると気づかせ、トランプの支持者が急増している。

リバタリアンの指導者ロン・ポール(元下院議員)も、米連銀による粉飾をずっと前から指摘し、連銀などによるQEを、景気対策でなく金融システム延命策だと見抜くなど、談合破りな分析を発してきた。

ポールは、米国民のうち1億人近くが失業状態か低所得のパート雇用しか得ていない現状をふまえ、利上げしたら景気が悪化するので連銀は利上げしないだろうと書き、トランプの発言に同意している。

話が脱線するが、ロン・ポールの息子である共和党のランド・ポール上院議員は米大統領選挙に立候補し、トランプと論争しているが、ランドはイスラエル右派が今後もずっと米政界を牛耳り続けると予測し、イスラエルに迎合(政治面の談合システムに迎合)する態度を強くとった。

近年、オバマが中東戦略をロシアに丸投げした影響で、米政界に対するイスラエル右派の影響力が弱まり、ランドの策は失敗して支持率が低迷し、トランプに大きく負けている。

ネット上に先日「ロン・ポールが、息子のランドはもうダメだと認め、トランプ支持に乗り換えた」という記事が出て驚いたが、最後まで読むと「これは風刺です。私を訴えないでねロン」と書いてあった。

ランドがもうダメそうなのは事実だ。

トランプは型破りだが、かつてのレーガン大統領も、選挙戦で談合破りな発言を多く発し、就任後は冷戦という談合を終わらせる型破りな策をやり、歴史に名を残した。

米連銀が利上げするかどうか、金融システムがいつまで延命するかにかかわらず、米国と世界の実体経済は悪化し続ける。

米国や日本では、QEやゼロ金利策といった米国金融の延命策をやるほど、実体経済が悪化して中産階級が貧困層に転落していく半面、株式や債券の相場が上がり、それらの金融資産を持つ金持ち層だけが豊かになり、貧富格差が急拡大している。

この傾向がひどいのは米国より日本だ。

11月5日に日銀(金融広報中央委員会)が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、日本の全世帯の48%が、金融資産を持たない一人世帯だ。

昨年の39%から急増している。

半面、2人以上の世帯の金融資産の平均額は増えている。

低所得で結婚できない独身層や、独居老人の世帯は、貧困が増している。

日本は、世界でもっとも急速に貧富格差が拡大している国になっている。

以前の日本人の多くは、終身雇用や老後の年金生活がかなりの確実性で保障されていたが、今後の日本人は、不安定で低賃金の派遣やアルバイトしか見つけられず、低所得のため結婚もできず、老後の生活の保障もないという悲惨な人生の人が大半になる。

今の安倍政権は、こうした大失策を加速する傾向にあり、QEや消費増税が格差増大と貧困層の窮乏拡大を引き起こしているが、QEや消費増税を決めた時期、安倍の支持率は非常に高かった。

多くの日本人が、政府やマスコミや金融界の経済プロパガンダシステムにだまされ、自分たちが支持した安倍によって生活を悪化させられている。

日本人の多くは、このことにすらまだ気づいていない。

こんな話は誰も読みたくないかもしれないが、長期的に見て、日本の大半の人々の生活は今後ますます悪化する。

その一つの要因は、いずれ起きる金融財政の崩壊だ。

日銀が昨秋から続けているQE(円を大量発行して日本国債などを買い支える策)は、経済テコ入れ策と喧伝されているが、金融界の金あまり現象を加速して米国の金融システムを延命させ、日米で株や債券の高騰を引き起こす金融延命策だ。

それ自体が貧富格差を増大させるが、それ以上に危険なのは、金融機関や日銀自身の破綻を招きかねない点だ。

生保や銀行など日本の金融機関は従来、顧客から預かった資金のかなりの部分を、日本国債を買って運用していた。

だが今、日銀がQEで新規発行の国債の全量を買い上げてしまうので、金融機関はしかたなく日米の株や、米国の社債(ジャンク債)など、高リスクの投資をせざるを得ない。

日銀のQEの真の目的は、まさにこの「日本の金融機関に高リスクな米国の株や債券を買わせ、対米従属の日本が米国の金融システムの延命に貢献する」点にある。

ゆうちょ銀行は、先日株を上場した際、高リスクな外国の金融商品を買うことを「投資のグローバル化」などと自慢げに発表した。

だが実際は、日銀によって無理矢理に危ない橋を渡らされている。

米日などの株や債券の価格は、世界経済が急速に悪化する状況を無視して上昇傾向を続けている。

これは日欧のQEによる効果といえるが、世界的な景気の悪化を受け、株やジャンク債の相場がいずれ大きく下がるのは不可避だ。

米国の金融システムは、08年のリーマン危機から7年に及ぶバブルの再膨張の結果、わずかな衝撃でシステム的な危機が起こりかねない状態だ。

株やジャンク債の急落は、リーマン危機をしのぐ大規模な金融危機に発展しかねない。

そうなると、日本の金融機関に破綻が連鎖する。

日本の金融機関が日本国債に投資していた以前(リーマン危機当時など)なら、米国の金融危機が日本の金融危機にそのまま伝播することはなかった(リーマン危機は、金融危機でなく、実体経済の景気悪化として日本に波及した)。

だが今後、日銀がQEを続けるほど、次回の米国の金融危機が日本の金融危機に直結するようになる。

日銀自身、QEの一環として、国債だけでなく、株式をETF(上場投資信託)のかたちで買い支えてきた。これが日本の株高の一因となっているが、日銀はETFの発行総額の52%を占める5・7兆円のETFを持ち、公的年金資金に次ぐ株の保有者になっている。

米日で株式が急落すると、日本の金融機関だけでなく、日銀も巨額の損失を抱える。

そうなると、債券格付け機関が日本の国債をさらに格下げし、国債の金利上昇(価値下落)が起きる。

日銀がQEで国債を全量買い支えているのに、国債の金利が高騰し、日本政府が国債の利払い不能に陥り、財政破綻に至る。

日銀は早くQEをやめるべきだと考える人がいるかもしれないが、QEの減額は危険だ。

日本国債は1年以上、市場原理を無視したQEの買い支えの中におり、日銀がQEを縮小して国債を市場原理に戻すと、相場が急落し、国債金利が高騰しかねない。

米連銀は今夏以来、何とか利上げを実現しようとして、米金融の不安定化の防止策として、日銀にQE拡大を求めている。

日銀は政治的にもQEをやめられない。

日銀は巨額のQEを1年続けたが、建前上の目的であるデフレ終息(による景気回復)が実現していない。

これを逆手にとって「今までのQEでは効果が薄いので、日銀はQEを拡大すべきだ。さもなくばQEを失策と認め、やめてしまえ」と主張する、米連銀の傀儡のような記事(プロパ○○○)を、FTが出した。

だが日銀はすでに新規発行の日本国債を全量買っている。

日本は社債市場が小さく、日銀がQEを拡大したくても買う債券がない。

日銀は、QEを拡大することも、やめることもできない(株は買い増せる?)。

米国の株や債券のバブル再崩壊が起きるまで今のままのQEを続け、その後の破綻を甘受するしかない。