城村優歌Webooks

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谷山浩子さんの「カントリーガール」は

4番までしか歌詞がないので、

この投稿では、しろみさんが弾いてくださったギターに、

私が、アンデスとコーラスを加えたインストにしてあります。

アンデスは笛鍵盤リコーダーのような楽器で

手軽でかわいい音がするので気に入って使っています。 

 

 

 

 

……★……☆……★……☆……★…… 

 

それからひと月ほど、 私は書く気も起こらず、 

誰かに会う気にもならず、 家に引き籠ったまま 寂莫と過ごしていた。 

 

ところがある日、 来訪者の少ないうちの玄関を しつこく叩く者がいた。 

あの若者だ。 

元担当編集者で、 私の言葉を盗んでデビューしたミュージシャン。 

少女の心を傷つけたけしからぬ者。 

どう呼ぼうと、 腹立たしい奴には変わりがない。

 

「君は自分のしたことを わかっているのかね」 

怒鳴りつけてやろうかと思った矢先、 

彼は両手をついて頭を下げた。 

 

「何度も伺おうと思っていました」 

涙ながらに釈明する。

 

原稿用紙の裏に見つけた詩に 

メロディをつけて、 ライブハウスで歌ってみたら 思いの外、客の反応がよかった。 

そこに居合わせたレコード会社のプロモーターに声をかけられ、 

とんとん拍子のメジャーデビュー。 

 

誰にも言い出せず、 

せめてもあの少女に打ち明けて 私に伝えてもらおうとしたのだが、 

言葉足らずで誤解され、それ以上は釈明できず、

そのままずるずると ここまできたのだと言う。 

 

「もう戻れません。許してください」

頭を下げ続ける青年を見下ろし、 

果たして何を許すべきかと自問する。 

自分の詩を勝手に使ったことか。

少女の幼気な心を傷つけたことか。

 

黙っていた私は、ようやく口を開いた。

「誰も時間を戻せはしない」

あの詩は、亡き妻に贈ったものだと 青年に説いた。

 

「そのことを公表します。

クレジットには先生のお名前を きちんと載せます」

 

私は苦笑し、首を横に振った。

「クレジットなど、どうでもいいことだ。

あの詩は、わたしの手を離れ、 独り歩きしてしまった。

君が大切に歌ってくれれば、それでいい」

 

そこで私は気づいた。

少女の傷をも癒せず なすすべもなく手放してしまった

不甲斐ない自分に、腹を立てていたのだと。

 

そして私は見つけた。

少女に自分がしてやれることを。

それはむしろ、 私にしかできないことだ。

 

私はその日から 筆を走らせ、一月余りで書き上げた。

小説のタイトルは 『カントリーガール』。

純真無垢な田舎娘の恋物語だ。

編集者の評価も上々で、これは絶対平積みですよ、と太鼓判を押す。

あの青年には、 あとがきを書いてもらった。

もちろん、彼を傷つけるような 筋書きではない。

 

果たして少女は読むだろうか。

そして気付くだろうか、私からのエールに。

都会の大空に飛び立った幼気な小鳥よ、

君が頼る枝は、いつでもここにあるのだ。

 

私は空を見上げ、風に望みを託す。

あの詩があれば、きっといつか届くだろう。

 

「カントリーガール きみの目の中で夕焼けが燃える

カントリーガール きみのほほえみは草原のにおいがする 好きだよ」

 

 ………(完結)……

 

 

 

……★……☆……★……☆……★…… 

 

お読みくださり、 ほんとうにありがとうございました。

このあと、何人かの方がここにコラボしてくださり、

エンドロールや続編を書いてくださったりもしました。

そのURLをこちらに移すのは、ご本人の許可がいるかと思うので、

明記はしておりません。もし聞くだけでしたら、

nanaの投稿のキャプションにURLが貼ってありますので、

ご興味ございましたらそちらからよろしくお願いいたします。

 

妄想ドラマ小説「カントリーガール」

第2弾、これにて完結です。

 

これを書いた後で、同じ曲でいくつも物語を作るのも

おもしろいね、という話になって、

じゃあ、次はミステリーかSF、ということになっています(笑)。

できるのかどうかわからないけど、

誰もそんなことやってないし、おもしろそうだし、

やりたい気持ちは山のようにあるので、

体力と気力のある時にチャレンジしたいと思っています。

それが実現できたら、またブログのほうにも移したいと思います。

幸い、nanaのほうのフレンドさんも、

こちらのフレンドさんはもちろん、

文章がお好きな方が集まっておられるので、

この前もnanaでずいぶん長い文章を書いたのですが、

喜んでくださる方が多くいて、長いコメントをいただいたりして、

どこにいても「書く」楽しみが尽きることがありません。

 

またぽつぽつと何か書けたらいいなあと日々思いつつ過ごしています。

 

ゆるゆるとやっていきますので、

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 

ご訪問ありがとうございました。

 

 

……★……☆……★……☆……★……

🔹INDEX🔹 妄想ドラマ小説「カントリーガール」 

 

🔹第1弾🐔 

・第1話 https://nana-music.com/sounds/0538b593 

・第2話 https://nana-music.com/sounds/0538b59f 

・第3話 https://nana-music.com/sounds/05391486 

・第4話 https://nana-music.com/sounds/05391489 

 

🔸第2弾🍳 

・第1話 https://nana-music.com/sounds/0542e620 

・第2話 https://nana-music.com/sounds/05433d4d 

・第3話 https://nana-music.com/sounds/05439abe 

・第4話 https://nana-music.com/sounds/0543f2a8 

・第5話 https://nana-music.com/sounds/0543f2b3