ファシリテーションはあくまで話しやすい雰囲気づくりの一環。 | 三茶農園/きむらさとる

三茶農園/きむらさとる

 気付きの共有。コミュニケーション、演出表現について、まちづくり。渋谷とか静岡。



最近「なにしてんのー?」とか、「どんなお仕事なんですかー?」と聞かれるので、「司会です」と答えているんだが、ファシリテーター/モデレーターを務めさせていただく機会がめっきり増えました。会議や会合などさまざまな場所で。民間や役所を問わず。一方デジタル案件に携わることが格段に少なくなってしまってるんだが、お世話になった皆さん忘れないでください…。お元気ですか…。たまには飲んでくださいよ…。そんなわけでそんなことより、司会だなんて調子乗って自己紹介してるもんだから、ファシリテーターとして、

どうやったら場を上手に回せますか?

みたいな質問を受けることがあるわけです。正しく勉強したい方は、日本ファシリテーター協会の方に質問するとか、フューチャーセンターアライアンスに属するとか、イノベーション・ファシリテーター講座を受講してみたらいいんじゃないかと思うわけですが、なので、あくまで個人的見解として、

× じぶんが場を回すんじゃなく、
○ みんなが話しやすい雰囲気を作る。


に尽きるんじゃないかと思ってます。司会役はなかなか重責なので、拝命すると、「なんとかしなきゃ、自分が上手に回さなきゃ・・・」となりがち。けど、ファシリテーターはあくまで話しやすい雰囲気づくりの一環なので、ほかにも話しやすい雰囲気を作る大事なアイテムがたくさんあるわけです。たとえば準備段階で、

  • 円卓にして上座を作らない

  • お菓子や飲み物を置いておく

  • 写真や花などが飾ってある

  • うっすら音楽を流す

  • 間接照明にしてみる

  • ソファーを並べる

  • 各自のニックネームを決める

  • 開演前に参加者同士を紹介してつなげておく


なんてことも話しやすい雰囲気作りの一環です。要はカフェづくりみたいなもの。おしゃべりしやすい雰囲気をいかに用意できるか。ファシリテーターもほんの1アイテムなわけです。次にルール設定。ちなみに運営からファシリテーションまでを高校生が担当し、公立高校かつ地域に開かれた形で実施している全国でも珍しい島田フューチャーセンターでは、

  • 上から目線禁止!(学生も社会人も主婦も立場が違ってもフラットに話そう)

  • 否定禁止!(互いの意見を尊重しあおう)

  • 積極的に話して共に場を作っていこう。(けど、自分ばかりが話し過ぎない!)


という3つのルールを置いています。あくまで、話しやすい雰囲気を作るためのルールであって、話さなきゃいけない責任感を負わせてはいけないです。あとは場を暖めてから対話を始めることが大事かと。いわゆるアイスブレイク。ハーバード大のマイケル・サンデル教授は、

みんなが発言しやすい雰囲気作りに最初の5分ぐらいまるまる使っているんですね。まず「こうだと思う人、手をあげて」っていう風に全員が手を挙げられるようにどんどん設問を出していく。ジョークを飛ばして「いかにこの授業に参加することが大事なのか」「聞くことじゃないんだ、参加することが大事なんだ」っていうことに何分も何分もかけ、毎回毎回場を暖めてから臨むんです。


東京都のシンポジウムを開催したとき、司会のお姉さんは場を暖めるため20分以上アイスブレイクに費やしました。


というのも良いです。

  • ファシリテーターが最初に「ジョーク」を言ってとことんスベる


ことによって、「あのファシリの人より恥ずかしいことは今日はないわーw」と思ってくれたらシメタもの。参加者は話しやすい雰囲気になったりするわけです。知り合いのフューチャーセンターでは、

  • 最初に恒例の「漫談」


というのがあって、その素晴らしいすべり芸(?)のおかげで、その後の発言者がだいぶ楽になっているように思われます。ファシリテーターとして一番困るのは沈黙でしょうかね。しゃべれない参加者がいて黙っていても、焦らない、焦らせない。沈黙は考えている最中と考えて、質問してあげればいいと思います。

エンターテイナーとしてはどうかっていうと、サンデル教授、超一流です。話す間とか、空気、身振りもそうなんですが、それ以上にひとつひとつの意見をキャラクター化するんですね。たとえばある子が言った意見に、「君の名前はアキラ。ではアキラの意見をみんなどう思う」、「アキラ、この件に関してどう思う」、「アキラの説に関して、これはどうなのかなぁ」という風に言う。そうすると意見が肉体化するんですよ。議論も「誰か対誰か」「バーサス」「対決もの」になってものすごくわかりやすいんです。


押したり引いたりの熟練な技なわけだが、やってることは質問してあげてるわけです。サンデル教授のような上等テク、いつか使えるようになってみたいものだが、こればっかりはその人なりのエンターテイナー次第ですw。お仕事ご用命お待ちしております。