「地域ブランド化」を成功させる3つの考え方。 | 三茶農園/きむらさとる

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木下さんが、「地域ブランド化」が失敗に終わる3つの理由ということで辛口なんだが、

理由1:
凡庸な地域と商品のまま、わざわざ「地域ブランド」による地域活性化を目指すこと自体が打ち手として、適切ではないということ

理由2:
自分たちで資金調達し、投資して行う所は稀有です。そのほとんどは、国や自治体の補助金を活用し、さらにコンサル頼み

理由3:
そもそもブランド形成は、極めて難易度の高いマーケティング手法


要するに補助金と外部のコンサル頼みではいいものが生まれないし、そもそもブランド形成はむずかしいマーケティング手法、ということで、まあそうだよね、と思う。

では具体的にどうすればいいのか?

ブランドとは、「ブランドイメージ」と「ブランド体験」で形成されるわけです(と思う)。いわば「憧れ」と「満足感」みたいなもの。使う前の憧れと、使ったあとの満足感と、それがほかの人にも染みだしていって、醸成されて、ようやく形づくられていく。なのでブランド形成にはどうしても時間がかかるわけで、一朝一夕で出来上がるものではないですそもそも。

という前提のうえで、じゃあ「地域ブランド化」を成功させる3つの考え方。

考え方1 競争と選別
ヨーロッパでは原産地証明を徹底します。たとえばシャンパンなのだが、シャンパーニュ地方でできたもの以外はシャンパンを名乗れない。同じ名前を名乗るモノは裁判で徹底的に潰していく。そのためシャンパンは高く、擬似シャンパンは安い。原産地証明を徹底的にやることで2倍とかの高値で売れます。イタリアワインなら統制保証付原産地呼称(DOCG.)。

原産地証明とは、地域を規定することだけではなく、ブドウも同じ、作り方も同じ、製法や工程の基準も細かく決めます。こういう手順で、こういうモノを使ったものだけが本物。すると丁寧な手順を踏んで作れるところは1割ぐらい。100年続く有名ワイナリーであっても基準をクリアできない年には例外なくふるい落とされます。すると外れたところは必死にまた頑張るし、一度選ばれてもサボればすぐ落とされる。

結果、消費者が安心して、高品質なモノだということがわかる仕組み。

たとえば静岡で作ったから全部静岡茶というだけでは、グローバルの視点でみれば、安心して高品質なモノだとは思ってもらえない。

その地域で徹底的に【競争と選別】をして、本当に良いものだけラベリングする。品質を絶対おろそかにしないこと。厳しく競争精神を持ち込み、いわば地域の和は犠牲にする。それが長い意味でむしろ地域を強くするのであって、その概念を持ち込んで選別しないと本当に競争力のある商品はできないです。

考え方2 東京に現物を出さない
世界規模ではご飯や食べ物は地産地消があたり前です。ミシュランの三ツ星が世界一多くあるまちと言われるスペインのサンセバスチャンでもそうだし、基本的な考え方は外に出さないこと。

ところが日本では、たとえば地方の和菓子屋さんが銀座の百貨店に商品が置けるようになるとものすごく喜ぶ。「ああ良かったですねぇ」と言うしかないが、ヨーロッパでは絶対にしません。伊勢丹や三越が置いてほしいような商品であれば意地でも出さない。静岡で300円のものを東京で300円で売る。物流、人件分、儲けが減るに決まってる。地方に食べに来いが、世界の発想。

たとえばミシュランガイドなのだが、三ツ星レストランはフランスに27件ほどあって、そのうちパリにあるのは10件ほどです。あとは不便なところにある。ミシュランはタイヤメーカーなので、注釈をみると、遠くまでクルマで出掛けていっても十分価値のあるレストランと書いてある。競争力のあるものだったら、供給を絞って逆に町から絶対に出さないのが、ヨーロッパを中心とした先進国の考え方。

東京に出したほうが宣伝になるという意見はたしかにある。けどね、東京で簡単に買えたら誰も地方に来ないわけです。

考え方3 販促費を使わない
本当に良いものを徹底的に絞り込んだら、販促費はかからないです。むこうからホイホイだから。

たとえばイタリアパルマのパルメザンチーズなのだが、彼らは「美味いのを知らない奴に売ってやらない」というスタンスです。「こんなに美味いんだからほしい奴だけに売ってやる」という考え方の徹底。販促費をかけるものはむしろコモディティ。

知らさなければ売れないものは特産品じゃない。販促費をかけないと売れないなら、そもそも特産品ではないと割り切るべきです。

時間がかかるじゃないかといわれるかもしれないが、ブランドとはそもそもそういうもんですw


どうですか?