ライフネット生命2015年新卒採用課題をやってみた。 | 三茶農園/きむらさとる

三茶農園/きむらさとる

 気付きの共有。コミュニケーション、演出表現について、まちづくり。渋谷とか静岡。

現在の小学校1年生が大学を卒業して就職する頃には、65%の人が今は存在していない仕事に就くという調査があります。現在から20年後の社会と仕事の変化について、予想してください。ライフネット生命の今年の新卒採用課題です。

[1] 20年前から現在にかけてもっとも成長した産業ともっとも衰退した産業について、データを用いてその背景とともに説明してください。

[2] 20年後の未来に、現在と比較して大きく変化している社会・産業の状況を予想し、理由とともに説明してください。

[3] [2]で予想した変化に伴い、20年後には、現在存在しないどんな仕事が新たに生まれているでしょうか。新たな仕事を1つ挙げ、その仕事が生まれる背景と、その仕事に就くにはどのような能力が必要か予想して説明してください。

かなり重たいw けど、情報収集や取捨選択を伴う「判断力」、分類や分析を伴う「思考力」、予測や推定を必要とする「想像力」など良課題ではないかと。最近こういう考える採用増えてるみたいね。たとえばサイバーエージェントでは、とっととインターンとして組みいれてから考えることを徹底して繰り返しながら選別していくらしいし。

というわけでやってみる。

[1] 20年前から現在にかけてもっとも成長した産業ともっとも衰退した産業について、データを用いてその背景とともに説明せよということなので、内閣府が毎年出している国内総生産(経済活動別、名目)の数値を使ってみます。総務省の経済センサスを使う手もある。

(単位:10億円) 1994年 2014年 増減率
農林水産業 9721.6 5753.3 59.2%
鉱業 821.9 310.5 37.8%
製造業 108258.9 88283.9 81.5%
建設業 43161.1 27913.7 64.7%
電気・ガス・水道業 12826.3 8381.7 65.3%
卸売・小売業 70815.4 69099.2 97.6%
金融・保険業 25476.1 21514.2 84.4%
不動産業 49868.8 56180.7 112.7%
運輸業 25188.6 23254.7 92.3%
情報通信業 17315.0 26645.3 153.9%
サービス業 77910.0 94871.7 121.8%
政府サービス生産者 40987.4 43123.5 105.2%
教育 4402.0 4771.2 108.4%

こうやってみると、もっとも成長したのは情報通信業で、もっとも衰退したのは鉱業です。ちなみに鉱業は、1994年時点ですでに1兆円に満たないイチバンちいさな産業だったわけで衰退さらに著しいです。分類をさらに中項目まで細かく見てみると、

(単位:10億円) 1994年 2013年 増減率
農業 7,975.0 4,881.4 61.2%
林業 275.3 159.2 57.8%
水産業 1,471.4 712.7 48.4%
鉱業 821.9 310.5 37.8%
食料品 12,743.3 12,852.4 100.9%
繊維 1,656.6 559.2 33.8%
パルプ・紙 3,156.0 2,094.6 66.4%
化学 9,282.6 7,301.7 78.7%
石油・石炭製品 5,600.3 4,993.8 89.2%
窯業・土石製品 4,384.9 2,672.9 61.0%
鉄鋼 5,431.8 6,438.6 118.5%
非鉄金属 1,860.1 1,557.6 83.7%
金属製品 6,544.6 4,659.7 71.2%
一般機械 10,433.3 10,024.6 96.1%
電気機械 18,414.0 11,140.7 60.5%
輸送用機械 10,526.5 12,045.8 114.4%
精密機械 1,597.0 1,526.9 95.6%
衣服・身回品 2,795.0 648.6 23.2%
製材・木製品 1,404.2 767.1 54.6%
家具 1,387.8 587.7 42.3%
印刷 3,629.2 2,355.5 64.9%
皮革・皮革製品 394.3 116.7 29.6%
ゴム製品 1,330.6 1,165.4 87.6%
その他の製造業 5,686.9 4,774.6 84.0%
建設業 43,161.1 27,913.7 64.7%
電気業 8,743.9 3,729.4 42.7%
ガス・水道・熱供給業 4,082.4 4,652.3 114.0%
卸売業 43,081.0 39,696.3 92.1%
小売業 27,734.4 29,402.9 106.0%
金融・保険業 25,476.1 21,514.2 84.4%
住宅賃貸業 40,081.9 49,253.3 122.9%
その他の不動産業 9,786.9 6,927.4 70.8%
運輸業 25,188.6 23,254.7 92.3%
通信業 8,012.4 10,828.3 135.1%
放送業 1,108.7 1,556.6 140.4%
情報サービス・映像文字情報制作業 8,193.9 14,260.4 174.0%
公共サービス 17,255.1 30,876.7 178.9%
対事業所サービス 26,275.6 34,061.2 129.6%
対個人サービス 34,379.3 29,933.7 87.1%
政府・電気・ガス・水道業 2,252.6 2,787.8 123.8%
サービス業 12,195.8 11,229.4 92.1%
公務 26,539.0 29,106.3 109.7%
非営利サービス生産者・教育 4,402.0 4,771.2 108.4%
その他 4,103.9 6,347.8 154.7%

情報サービス・映像文字情報制作業(174.0%)がイチバン伸び率が高く、次いで、放送業(140.4%)、通信業(135.1%)と情報通信業がトップ3を占めました。次いで、住宅賃貸業(122.9%)が伸びている。それを上回るのが公共サービス(178.9%)で、こうやってみると、失われた20年で最も伸びたのは、公共サービスです。衰退しているのは、衣服・身回品(23.2%)、皮革・皮革製品(29.6%)、繊維(33.8%)、鉱業(37.8%)というわけで、鉱業を下回る産業がみっつも。住宅は賃貸で、公共サービスに頼らざるを得ない図式。背景にあるのはデジタル化とデフレ。どうしたモノづくりニッポン。


[2] 20年後に現在と比較して大きく変化している社会・産業の状況を予想し理由と共に説明せよ。 そもそも落ちてる産業がV字回復することは人類史上的には厳しいわけです。たとえば衣服産業で爆走しているユニクロみたいな企業があったとしても、産業自体が下がっていれば大復活はほとんど見込めず、結果上位数社に寡占されていく。

情報通信産業であっても栄枯盛衰だったりするわけで、たとえばパソコン業界で栄華を誇っていたIBMより、そこにOSを提供していたマイクロソフトより、マイクロソフトにサービス提供していたヤフーより、ヤフーに検索技術を提供していたグーグルが上回っていく栄枯盛衰。

このままテクノロジーが発展していけば、人間が物理的に行う仕事はどんどん無くなっていくと予想します。



グーグルCEOのラリー・ペイジはフィナンシャルタイムズの取材で、
A perennial optimist when it comes to technology, he argues that all that will change. Rapid improvements in artificial intelligence, for instance, will make computers and robots adept at most jobs. Given the chance to give up work, nine out of 10 people “wouldn’t want to be doing what they’re doing today

人工知能の急速な発達により、現在日常で行われている仕事のほどんどをコンピューターとロボットが行うようになり、近い将来、10人中9人は今とは違う仕事をしているだろう、. と述べています。
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも、
Software substitution, whether it's for drivers or waiters or nurses … it's progressing. ... Technology over time will reduce demand for jobs, particularly at the lower end of skill set. 20 years from now, labor demand for lots of skill sets will be substantially lower. I don’t think people have that in their mental model.
運転手、ウェイター、看護師であろうとソフトウェアの進歩に置き換えられる。今後20年で、大した知識や技能を要しない仕事は、需要が減っていくだろう。しかし誰しもまだの準備ができていないように思う、と述べています。

マサチューセッツ工科大学は2013年6月に、生産性は上がり、国がどんどん反映しているのに、そこに雇用が生み出されてないため失業する人たちが増えている、というレポートを出しているし、

オックスフォード大学は2014年1月に、20年以内に、現在人間が行っている47%の仕事が機械によって代行されるだろうという研究結果を発表したりしている。

というわけで、今より日常生活の効率がよくなり生活コストは圧倒的に下がる一方で、創造性を必要としない仕事はすべてテクノロジーに代行され、人間が物理的に行う仕事はほぼなくなるのではないかと予想します。


[3] [2]で予想した変化に伴い、20年後には、現在存在しないどんな仕事が新たに生まれているでしょうか。新たな仕事を1つ挙げ、その仕事が生まれる背景と、その仕事に就くにはどのような能力が必要か予想して説明してください。

人間の創造性を高めてくれる仕事が生まれるのではないでしょうか。

なんでそう考えたの?
どうしてそうなってるの?
どうしてその発想に至ったの?

を考えさせるような、もっとひとの力を引き出してくれる、ひとに力を与えてくれるような職業。

仕事がなくなると、ひとは生きる意味を失います。(たぶん)

けど人間は誰しもアイディアマン。ひとの脳には無限の可能性がある。ということを感じさせてくれて、それを開花させてくれて、コンピューターはあくまで人を補助するもので人間に替わるものにはならないようなサポートをする仕事がきっとうまれて、ひとが生きる意味を持ち続ける手助けをしてくれる仕事がうまれるはずです。

その仕事に就くには、立場が違えど相手のことを尊重でき、考えを否定せず、自分の主張をし、未来を創る仲間を信じる能力が必要かな。

明るく楽しい未来が来ますように!


NHK出版 (2014-09-25)
売り上げランキング: 279