違法ダウンロードの刑事罰化について(続) | 知財弁護士の本棚

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企業法務を専門とする弁護士です(登録30年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 5月8日の市民集会に行ってきました。


 皆さんの意見を聞いていて、反対論には3種類あるように思われます。


 第1は、違法ダウンロードの刑事罰化は国民の知る権利を侵害するものである、あるいは恣意的な捜査や別件逮捕が行われるおそれがある、プライバシー権侵害のおそれがあるといった、刑事罰化そのものに反対する意見。


 第2は、今回の修正案が衆院での質疑が終了した後に動議として提出されたこと、審議会の審議も経ておらず、一部の権利者の陳情によって事情もよく知らない議員が動かされただけという、今回の修正案の拙速さ、立法化のプロセスに反対する意見。


 第3は、2年以下の懲役または200万以下の罰金という刑が、不正アクセス禁止法の1年以下の懲役、50万円以下の罰金と比較してバランスを失するとの、法定刑を問題視する意見(実際には、この点は第2の見解と結び付けて指摘されていましたが、独立した論点になると思います)。


 第2、第3の立場は、未来永劫刑事罰化に反対するものではありません。きちんとしたプロセスを踏んで、かつ妥当な法定刑であれば、いずれ刑事罰化することがあってもよいと考えています。第1の立場の人とは、話がかみ合わないように感じました。