知財弁護士の本棚

企業法務を専門とする弁護士です(登録22年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

info@kimuralaw.jp   牛鳴坂法律事務所 弁護士 木村耕太郎

弁護士 木村耕太郎のブログ

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 先月(2016年7月)発売されたLaw & Technology 別冊「知的財産紛争の最前線 №2」 に、「営業秘密の著名侵害事例からみた不正競争防止法改正の経緯と今後の課題」と題する論説を寄稿しました。


 営業秘密侵害の著名な事例(裁判事例とは限らない)を題材に不正競争防止法の立法上の様々な論点を考えるというもので、判例よりも、新聞記事と審議会資料に主に依拠して執筆しました。法律論文としては特徴があると思います。内容はマニアックかもしれませんが、読み物として面白いように、分かりやすく書いたつもりです。


 「どうして誰も言わないのかな」と日頃から疑問に思っていたこと(新日鉄事件は提訴時に既に時効にかかっていたはず、など)を、率直に書かせていただきました。


 裁判所と弁護士会の意見交換会の記事も貴重ですので、ぜひお買い求めください。

 

 以下に、私の記事の見出しを紹介します。


1 はじめに


2 デンソー事件

(1)事案の概要

(2)取得行為の可罰化

(3)目的要件の緩和

(4)営業秘密管理の取組みへの影響


3 新日鉄事件

(1)事案の概要

(2)時効と除斥期間

(3)国際裁判管轄および準拠法

(4)推定規定の導入

(5)目的要件

(6)本件の意義


4 東芝事件

(1)事案の概要

(2)本件の意義


5 おわりに

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 意匠権侵害における「物品の類似」についての先例として有名な大坂高裁昭和56年9月28日決定(薬品保管庫事件)は、「物品の用途と機能が同じものは同一物品であり、用途が同一であるが機能に相違のあるものは類似物品である」との判示のみが有名になってしまっている。


 しかし判例の文言は具体的な事案においてどういう文脈で書かれたかを読まないと意味がない。


抗告人は、本件意匠の実施品は科学機器、試薬関連会社を通じてのみ市場に供給されるものであつて理科機器関係業界がその分野であるのに反し、・・・公知意匠Ⅰ・・・、公知意匠Ⅲ・・・公知意匠Ⅳ・・・にかかる各物品は工具ないしは事務機器関係業界がその分野であつて、本件意匠の実施品とは供給される市場を異にし、従つて同一又は類似の物品ではないから、本件意匠の類似範囲を定めるについて右各公知意匠は参酌すべきではないと主張するが、物品の類否の判断は物品の用途と機能を基準としてすべきであつて抗告人主張の如く物品の供給される市場が同一であるか否かは右判断の基準となり得ないものと解される。そして物品の用途と機能が同じものは同一物品であり、用途が同一であるが機能に相違のあるものは類似物品であると解するのが相当である。本件についてみるに、本件意匠の実施品及び公知意匠Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ、の対象物品は何れも比較的小型の物品を収納し保管することに用いられるものであつて用途を共通にするものと云うことができ、ただ収納する品物が異る点で機能を異にするに過ぎないから、本件意匠の実施品と各公知意匠の対象物品とは類似物品であると云うべきである。」


 「何れも比較的小型の物品を収納し保管することに用いられるもの」であることを「用途」が共通であるという、このおかしな日本語の使い方は、いかがなものであろうか。「収納する品物が異る点で機能を異にする」というが、「用途」と「機能」が普通の日本語と逆である。


 この「用途」「機能」という表現は後の裁判例でも踏襲されているが、裁判官によって使われている意味が異なるようなので、注意が要る。


 例えば「遊技台の台間仕切り板」の意匠に関する大阪高裁平成25年10月10日判決は、次のように述べて、公知意匠を参酌しないとしている。


「乙2意匠及び乙6意匠は,いずれも個室的作業スペース(プライバシー)を維持しつつ作業者の移動の便宜を考慮するという用途と機能を有するものである(仕切り板前方下部の切欠きも,デスクより下に位置する。)といえる。これらに対し,本件意匠に係る物品である遊技機間の間仕切り板は,・・・全て透明な板を使用し,隣の遊技者の喫煙の煙や音声を抑制するとされているように,プライバシーの維持と反対に,むしろ見通しをよくし,かつ喫煙の煙や音声に考慮したものである。そうすると,上記公知意匠も本件意匠も,いずれも空間を仕切る板状のものとはいい得るものの,用途と機能において同一又は類似とは認められない。したがって,本件意匠の要部を検討する上で,公知意匠として乙2意匠,乙6意匠を参酌するのは相当でない。」

 この論点について、原審(大阪地裁平成25年3月7日判決)は、正反対の結論であり、結構難しい論点であることがわかる。



「そして,これら乙2意匠に係る物品及び乙6意匠に係る物品は,具体的な用途こそ,本件意匠に係る物品である遊技機間の間仕切り板とは異なるが,隣接する作業空間を物理的に間仕切る板状の物という点で用途及び機能を共通にしている。そのため,乙2意匠に係る物品及び乙6意匠に係る物品は,それぞれ本件意匠に係る物品と類似しており,本件意匠の要部及び類否判断において,乙2意匠及び乙6意匠を参酌すべきである。」


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知財高裁平成261217日判決・平成25(ネ)10025金属製棚及び金属製ワゴン】について。

 

複数の者について不法行為責任が認められる場合において、各侵害者につき、共同不法行為責任が成立するためには、各侵害者に共謀関係があるなど主観的な関連共同性が認められる場合や、各侵害者の行為に客観的に密接な関連共同性が認められる場合など、各侵害者に、他の侵害者による行為によって生じた損害についても負担させることを是認させるような特定の関連性があることを要するというべきである。そして、製造業者が小売業者に製品を販売し、これを小売業者が消費者に販売するという取引形態は、極めて一般的なものであり、製造業者と小売業者双方が、このような取引形態を取っていることを認識し容認しているとしても、これだけでは共同不法行為責任を認めるに足りるだけの十分な関連共同性があるとはいえない

 

本件において、弁論の全趣旨によれば、製造業者である被控訴人コージ産業は、小売業者である被控訴人トラスコ中山に対し、被控訴人製品をすべて納入しているが、被控訴人らの間に資本的、人的関係があることを認めるに足りる証拠はなく、被控訴人製品の売上げが被控訴人双方における売上げに占める割合は極めて低い上、被控訴人トラスコ中山の取引先は約2000社であるから(乙46)、被控訴人トラスコ中山にとって被控訴人コージ産業は単なる取引先の1つという評価もできる。しかしながら、被控訴人コージ産業は、平成21年3月期の全社売上げ1195億0694万円、事業所数全国で105か所という被控訴人トラスコ中山の営業力(甲2)を背景として、同被控訴人に被控訴人製品の全品を確実に買い取ってもらえるという信頼の下に、当該製品の製造を行い、他方、被控訴人トラスコ中山も、被控訴人コージ産業の製造した製品を独占的に買い取ることで、商品供給を確実にするという関係にあったと認められるから、被控訴人双方は、相互に利用補充しながら、被控訴人製品の製造・販売をしてきたということができる。したがって、本件において、被控訴人らの行為には、客観的に密接な関連共同性があったといえ、共同不法行為責任が成立するというべきである

 

 「主観的な関連共同性」とは、製品を共同開発したような場合を言うのであろうか。また「客観的に密接な関連共同性」については、本件では全量供給(小売から見て)+全量買い取り(製造業者から見て)という構図であったが、他に何が考えられるか。

 

 本件は、小売業者(被告1)について特許法1022項で算定した損害額(金額A)と、製造業者(被告2)について1022項で算定した損害額(金額B)の合計額(A+B)について、両者が連帯して支払義務を負うとした。しかし、これでは損害を二重に評価しているように見える。「金額Aと金額Bの高い方」ではないのだろうか。

 
 
 

 

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