知的財産権の登録のタイムラグ | 知財弁護士の本棚

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企業法務を専門とする弁護士です(登録28年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 6月になりました。今日の東京はよい天気です。


 私事ですが、このたび日本商標協会というところの理事に選任されました。理事といっても大勢いる中の一人ですので偉くも何ともないのですが。事務局みたいなものかと思います。


 そこで商標協会から来る資料を少しはまじめに読んでみたところ、意外と面白いことが書いてあります。


 例えば特許登録令施行規則の改正について、商標協会はパブリックコメントを出しています。



第二十一条  特許登録原簿に表示部又は事項部について職権により登録をしたときは、その末尾に登録年月日を記録しなければならない。

 この「職権により」を加えたことにより、申請による登録について登録年月日が記録されないことになってしまいました。これに反対する意見を出したのです。

 そのこと自体はちょっと難しいので措いておきまして、私がなるほどと思ったのは、登録申請と、実際に登録されるまでのタイムラグの問題です。

 商標協会の意見書によりますと、特許庁は「申請受付日から原則10営業日以内での登録を目標として処理」しているとのことですが、商標協会が「平成20年1月1日以降の1年間の登録申請の処理日数を調査したところ」(商標だけなのか特許なども含めてなのかよくわかりませんが)「平均で34日かかっており、最大で316日を要したものがあった」「不動産登記が申請受付即日登記を原則としているのと比較すれば、事務処理に要する時間に大きな隔たりがある」のだそうです。

 特許庁が即日登記でないのは分かっていましたが、最大316日は、いくら何でもひどすぎませんかね?不動産と同じく申請受付即日登記を目標とするのが筋だと思うのですが。
 
 要するに人手が足りないんでしょうから、特許庁にもっと予算を配分してもらいたいものです。

 日本商標協会はオープンな会でして、個人でも法人でも入会できますし、会員の推薦が必要とか、そんなやかましいことは言いません。私もここの研究会の一つにかれこれ10年以上も参加しておりますが、サークルのようで大変楽しいです。ご興味のある方はHPをご覧になってくださいませ。