中国企業とのライセンス契約 | 知財弁護士の本棚

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企業法務を専門とする弁護士です(登録30年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 中国法は専門でないのだが、中国企業との契約書を作成することもあるので、最低限のことは勉強するように努めている。


 日本企業が中国企業に技術ライセンスするという場合、まず「自由輸入技術」なのか、それとも「輸入禁止技術」または「輸入制限技術」であるかを、輸入禁止制限技術目録でチェックする。


 「輸入禁止技術」または「輸入制限技術」の場合は、専門家に相談するしかないように思われる。


 自由輸入技術であれば、昔は認可制であったが、2002年1月1日以降、登録すればよいことになった(技術輸出入管理条例17条)。したがって、少なくとも建前上は内容の審査は行われない。


 登録しなくても契約の効力は発生するが、ロイヤリティの送金ができない。


 技術輸出入管理条例は、ライセンサーに対し、供与技術について保証義務を課している(24条、25条)。これらは強行規定とされているが、実際にどう対応するかが難しい。「こういう規則があるから、このとおり従ってください」では弁護士のアドバイスにならない。仮に契約に規定を置かなかった場合、中国で訴訟または仲裁になれば、規定を置いた場合と同様に扱われるものと覚悟すべきであろう。


 また中国には「契約法」という名前の法律があり、ライセンス契約は「技術契約」(322条)の中の「技術譲渡契約」(342条)の一種という位置づけになる。


 特に契約法329条は実質的には独占禁止法のような規定であり、注意が必要とされている。

 

 最近、知財管理60巻4号587頁「中国法人との技術契約とその関連法規に関する考察と留意点」を目にした。非常に細かいところまで行き届いており、有益な文献である。