証拠収集実務マニュアル | 知財弁護士の本棚

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企業法務を専門とする弁護士です(登録30年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 東京弁護士会法友全期会編「証拠収集実務マニュアル 」改訂版(ぎょうせい)が出た。


 訴訟の類型別に、主張・立証しなければならない事実は何か、そのための証拠をどのようにして入手できるかについて説明したもの。


 基本的には、弁護士による弁護士のための本である。しかし弁護士が書いた弁護士向けの本というのは、かなり分かりやすく書かれているものが多く、大体において外れがない。


 実は私も「意匠権侵害訴訟」の部分を執筆している。「知的財産権訴訟」でひとまとめにしそうなところを、「特許権侵害訴訟」「商標権侵害訴訟」「意匠権侵害訴訟」「不正競争防止法関係訴訟」と細かく分かれている(すべて違う人が執筆)。なぜか「著作権侵害訴訟」はない。


 内容はこんな感じである。


1 「意匠」の意義と「意匠権」の内容

 (略)

2 意匠権侵害訴訟における請求原因事実

 意匠権に基づいて差止請求をする者は、以下の請求原因事実を主張する必要がある。

(1)原告は本件意匠権を有していること。

(2)被告は、業として被告製品(イ号製品)を製造、販売していること。

(3)被告製品の意匠(被告意匠)は本件登録意匠と同一または類似であること(意匠が同一または類似であること、および被告製品が本件登録意匠に係る物品と同一または類似であることを含む)。

意匠公報は本来、書証であるが、便法として、訴状別紙として意匠公報写しを添付するのでもよい。

 (中略)


  ア 意匠登録原簿の認証謄本

 意匠権は譲渡することも可能であるから、原告が現在の権利者であることを立証するためには、意匠登録原簿の認証謄本を提出する必要がある。これは特許庁(出願支援課特許行政サービス室閲覧担当)または(財)日本特許情報機構(Japio[1] )で入手できる。

  イ 意匠公報

 意匠公報には、願書に添付した図面ないし写真が転載されているので、意匠権の具体的内容はこれによって立証する。

 意匠公報は、特許電子図書館(IPDL[2] )からダウンロードできる。

  ウ 写真、ひな形、見本

(以下省略)



[1] http://www.japio.or.jp/index.html

[2] http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl