監査役会設置会社は、3人以上の監査役を置かなければならない(会社法335条3項)が、そのうち1名以上を「常勤の監査役」として選定しなければならない(同390条3項)。
しかしながら、「常勤の監査役」とは何かについて、法は定義規定を置いていない。そこで、たとえば、今まで「常勤の監査役」とされていた者が別の会社の代表取締役を兼任してもOKか、といった相談を受けることがある。
教科書を調べると、はっきり解説したものは少なく、漠然と、社外監査役でない監査役が常勤監査役であるとしているものが多い。しかしながら、冷静に考えれば、「社外」か否かと「常勤」か否かは観点が異なることは明らかと思う。著名な学者の本だからと言って鵜呑みにできない。
神田秀樹先生の「会社法」だけは、この問題を意識し、常勤とは「フル・タイムという意味と思われる」としている。
結局、「常勤の監査役」は、別の会社の代表取締役を兼務することは不可と考えるのが無難だ。単なる取締役であればOKである可能性がある。